メガソーラー事業を実現していくための第一歩が、土地の選定である。土地の選定においても、法律の裏付けが欠かせない。法律の視点からのメガソーラービジネスの解説の第3回となる今回は、本田 圭氏(長島・大野・常松法律事務所・アソシエイト)による、メガソーラーの建設プロジェクトの用地確保に関する法的なポイントを紹介する。

特定目的会社による用地確保で必要な工夫

 メガソーラーの建設プロジェクトの用地確保に関する法的なポイントは、主に三つに分けることができる。対象となる土地の「デューデリジェンス」、用地確保の方法、地権者のタイプ別の留意点という三つである。デューデリジェンスとは、投資対象となる土地の価値や収益力、リスクなどを詳細に調査、分析することである。

 まず、対象となる土地のデューデリジェンスについて解説する。メガソーラーを建設する土地の選定においては、20年間以上におよぶ長期に亘るメガソーラー事業プロジェクトの用地として利用する上で、法的な問題がないかという観点から、十分なデューデリジェンスを実施する必要がある。

 具体的には、当該土地の所有関係、担保権・用益物権の負担の有無を確認するほか、当該土地の取得、または利用権の設定、およびメガソーラー事業プロジェクトの実施にあたり、必要となる許認可などについて調査する。関連する主要な規制法は7つある。国土利用計画法、都市計画法、森林法、農地法、農地振興地域の整備に関する法律、土壌対策汚染法、文化財保護法である。これらの他、関連する条例に基づく規制も確認する必要がある。

 次に、用地確保の方法について解説する。用地確保の方法には、対象となる土地の所有権を取得する方法と、当該土地について地上権、または賃借権の設定を受ける方法がある。

 このうち、メガソーラー事業者が対象となる土地の所有権を取得する場合、不動産特定共同事業法(「不特法」)との関係に留意する必要がある。メガソーラー事業者が、投資家から匿名組合出資を受けて、対象土地の所有権を取得する場合、当該事業者は、不特法に規定される「不動産取引」(不特法第2条第2項)を行うこととなり、不特法に従った許可(不特法第3条第1項)の取得が必要となる「不動産特定共同事業」(同法同条第4項)を営むことになってしまう。

 かかる許可を取得するためには、許可の申請者に一定の人的構成、および財産的基礎、並びに過去の実績などが要求されるとともに、過去3年間の財務諸表などの提出なども必要になる。このため、事業者が特定目的会社のような場合には、許可を取得することができない。そのような場合は、対象土地を信託に入れた上で、その信託受益権を取得するといったアレンジが必要となる。

 土地利用権を設定する場合、具体的な方法としては、メガソーラー事業者が、地上権(民法265条)の設定を受ける方法と、賃借権(民法601条)の設定を受ける方法が考えられる。それぞれのメリット・デメリットは表に示した。

メガソーラー事業者による、地上権、賃借権それぞれの設定のメリットとデメリット
メガソーラー事業者による、地上権、賃借権それぞれの設定のメリットとデメリット
(出所:長島・大野・常松法律事務所)