通信と共用できる2.4GHzに

 (4)は、電波を利用して心拍を計測しようという技術だ。前述のオムロンヘルスケアの睡眠計も、この技術の一つと位置付けられる。「発売している製品は睡眠と関係する呼吸を観察するものであり、心拍までは測れないが、人の動きを補正するフィルタリング処理や、雑音除去などの技術を導入すれば、技術的には心拍測定への適用も可能だ」(同社の堤氏)。心拍は、呼吸や体動などよりも小さな動きのため、これら雑音成分を除去したり測定精度を高めたりできれば、同じ技術の延長線上で、心拍測定が実現するというわけだ。

 実際、人の胸部などに電波を発信し、反射してきた波と入射波の位相差から体表の動きを検知するという原理に着目するのは、オムロン ヘルスケアだけではない。例えば、アルプス電気が開発する「RFモーションセンサ」は、2.4GHz帯の電波を利用して心拍などを測定するためのもの(図4)。アンテナは内蔵されておらず、外付けで用意する。「現在、機器メーカーなどに評価してもらいながら改善を進めている段階。どの程度の精度まで追求するべきかをつめていく」(同社 技術本部 Hプロジェクト 第1グループ グループマネージャーの佐藤茂氏)。2014年に量産を始めたい考えだ。

図4 2.4GHzを利用して心拍や呼吸を検出
アルプス電気は、2.4GHzの無線電波を利用した心拍や呼吸の非接触測定技術を開発している(a)。同社が開発した「RFモーションセンサ」にアンテナを組み合わせて使う(b)。
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 2.4GHz帯を選択したのは、生体情報の測定と、測定データの通信を両立させるためと説明する。実際、センシングのために人体に発信する電波をデータ通信波としても利用する試作品を開発しているという。