予想を上回る発電量

 今回の通達に基づいて設置した発電所が、ルネサンスエコファームの果樹園にある。山口県防府市右田の森林を切り開いた場所である。藤棚をイメージさせる架台に、すき間をあけて太陽光パネルが設置され、その下に植えられている梅の木や、バジル、イチゴなどに、日が降り注いでいる(図2)。

図2●栽培されているバジル(撮影:日経BP)
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 最大出力は250kWで、発電した電力の全量を1kWhあたり42円の固定価格で売電している。売電だけで初年度約1000万円を売り上げる計画。総建設費は約8000万円である。

 採用した太陽光パネルは、韓国Hanwha SolarOne社製の多結晶シリコン太陽電池である。最大出力258W品を880枚並べて、合計で250.8kWとしている。パワーコンディショナー(PCS)は安川電機製。6月12日から売電を開始しており、これまでのところ、発電量は予想を上回っている。

 ソーラーシェアリングへの取り組みの中では、簡易な管状の部材で架台を組み上げる場合もあり、安全性への懸念があると聞く。これに対して、ルネサンスエコファームの果樹園では、高さ3.3mの柱にはH鋼を使い、その柱の間の一部に、X字状の補強材を加えた堅牢な構造である(図3)。九電工では、「あくまで発電所であり、瞬間風速36mの風を想定して設計した」と強調している。

図3●高さ3.3mの柱に、X字状の補強材を加えた堅牢な構造で、農作物の育成と発電を両立(撮影:日経BP)
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 このX字状の補強材は、育成する農作物や規模次第では、配置する位置や方向を考慮する必要がある。例えば、トラクターなどの農機を使って農作業をしようとする場合に、農機の通行を妨げてしまうからである。