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低コストで高頻度な打ち上げを可能とする国産新型ロケット「イプシロン」

代表執筆者:富岡 恒憲=Tech-On!編集、推薦者:三輪 芳久=Tech-On!編集、荻原 博之=日経ものづくり
2013/10/21 00:00
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図1 閃光と轟音とともに打ち上がる新開発の固体燃料ロケット「イプシロンロケット」試験機
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 2013年9月14日、2度の延期を乗り越えて、ついに宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げを成功させた固体燃料ロケット「イプシロンロケット」試験機(図1)。日本が12年振りに開発した国産の新型ロケットだ。

 液体燃料ロケットの「H-ⅡA」「H-ⅡB」と並ぶ日本の基幹ロケットと位置付けられ、日本が目指す宇宙利用と宇宙ビジネスの拡大に大きく貢献するものと期待されている。全長24.4m、直径2.6m、質量(ペイロード含まず)91tの3段式の小型ロケットで、打ち上げ能力は、地球周回低軌道(高度500km)に衛星を投入する場合で1200kg。2006年に退役した1世代前の日本の固体燃料ロケット「M-Ⅴロケット」の約2/3の打ち上げ能力を持つ。狙うは、需要が拡大している小型衛星の打ち上げ需要の取り込み。自前のロケットを持たない新興国などからの需要獲得を目指す。

 イプシロンロケットを一言で表現すると、「(金も時間も人手もふんだんに必要な)古くさい打ち上げシステムから卒業した新時代のロケット」(JAXA イプシロンロケットプロジェクトチーム プロジェクトマネージャの森田泰弘氏)だ。打ち上げシステムの革新、既存ロケットからの部品の流用、使用材料や製造技術の見直しなどにより、低コストかつ高頻度での打ち上げを実現する。

図2 人工知能を使った自動・自律的点検システム「ROSE」(提供:JAXA)
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 イプシロンロケットでは機体に、ロケット本体の計算機「OBC」と、人工知能を使った自動・自律的点検システム「ROSE」を搭載する(図2)。また、地上には、ロケットの点検・打ち上げを地上から遠隔操作するための計算機「LCS」を設置する。それらOBC、ROSE、LCSを連携させることで、従来は人間が実施していた判断の一部をシステムに任せ、少人数かつ短時間での点検・打ち上げを実現する。ロケットに人工知能を使った自動・自律的点検システムを搭載するのは世界で初めてだ。

 打ち上げ時の管制に必要な人員は「多く見積もっても8人程度」(森田氏)。かつてより1ケタ少ない。しかも、わずか2台のパソコン(LCSに相当)で管制業務を実施できる。従来必要だった点検用のケーブルの取り付けや取り外しなどの作業も軽減可能なことから、発射場での組み立て/打ち上げ/後処理に要する期間もわずか7日と短い。これはM-Ⅴロケットの1/6に相当する。

 試験機では、新開発ということもあって開発のための試験費用も必要だった。それもあり、打ち上げ費用は約53億円と大幅な低コスト化は果たせなかった(開発のための費用を除くと約38億円、M-Ⅴロケットの場合は約80億円)。しかし、JAXAは2015年度に打ち上げる予定の2号機以降も改良を続ける計画で、2017年度に打ち上げを目指す改良型では、打ち上げ費用を30億円以下に低減することを目指す。これが実現すれば、打ち上げ能力当たりの打ち上げ費用は、M-Ⅴロケットよりも約4割以上安くなる。

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