ソーシャル・デバイスの先端応用事例などについて紹介する。2013年7月に開催された「ナノ・マイクロ ビジネス展」と併催の「第19回 国際マイクロマシンナノテクシンポジウム」(財団法人マイクロマシンセンター主催)のセミナー「社会課題対応センサーシステム(インフラ・医療・農業)が拓く安全・安心社会」と、「グリーンセンサ・ネットワーク(GSN)プロジェクト」を解説するセミナーでの講演を基にしている。
ここまでできる、センサ・ネットによる社会イノベーション
目次
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地熱発電やガス・タービン、過酷な所にセンサを
社会インフラでは、既存のセンサでは難しい、過酷な環境への対応が求められることがある。資源やエネルギー、発電などに代表される分野である。こうした過酷な環境で使われるセンサについて解説する。
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「センサ×ビッグデータ」の予防医療、血圧測定から
血圧の常時計測で死亡リスクを低減できる、自治医科大・苅尾教授
医療やヘルスケアにおけるエレクトロニクスの応用で、最も期待が集まる用途の一つが血圧の計測である。血圧は、心不全や脳梗塞、糖尿病といった、先進国を中心に人間の命を脅かしかねない疾病と強い相関がある。血圧の計測の重要性について解説する。
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ハイテク畜産、鳥インフルも口蹄疫も防ぐ
生産性・品質を向上させる新センサ活用法を産総研が開発中
産業技術総合研究所は、飼育されている鶏や牛をセンサでモニタリングする研究・開発に取り組んでいる。
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オランダの農業が強い理由
多様なセンシング手法を科学的に使い分け
欧州で有数の農業国であるオランダは、先進的な農業への取り組みに積極的なことで知られる。より効率的で、より高収益を目指すオランダの農業の中で、センサをはじめとするデバイスがどのように使われ、今後、どのようなデバイスが求められているのか。
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太陽電池の“布”、暗い室内光でも発電
貼るだけセンサ向け自立電源を解説
暗い屋内でも高効率に発電する“貼るだけ1000円センサ”向けフレキシブル太陽電池の開発が進んでいる。低コスト化に適した有機半導体による薄膜太陽電池をnmレベルの微細な繊維状に形成、これを“布”に仕立てる。開発の詳細をNMEMS技術研究機構 グリーンセンサネットワーク研究所 大岡山研究センター長の谷岡…
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貼るだけ1000円センサ、実証から実用へ
グリーンセンサ・ネットワーク・プロジェクトを詳説
社会インフラが求めるセンサ・モジュールとはどのようなものか。セブン-イレブン・ジャパンや東京電力による実証実験を、センサの開発などから支えているNMEMS技術研究機構 グリーンセンサネットワーク研究所 つくば研究センター長の伊藤寿浩氏が「見えてきたグリーンMEMSセンサ端末の姿」と題した講演において…
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「生産を減らさず電力ピークシフト」、東電がセンサで実現
電力会社が進める顧客向け省エネ・コンサルティングとは(下)
東京電力は、エネルギー・コンサルティングのスタイルを従来の設備更新提案型から運用改善提案型へ変えようとしている。運用改善提案型では、センサで計測したデータを生産プロセスの状況把握につなげることが鍵となる。
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「1億円のエネルギーで40億円の価値を生めるか」、東電の節電基準
電力会社が進める顧客向け省エネ・コンサルティングとは(上)
東京電力は、エネルギー・コンサルティングのスタイルを従来の設備更新提案型から運用改善提案型へ変えようとしている。運用改善提案型では、センサで計測したデータを生産プロセスの状況把握につなげることが鍵となる。以降、東京電力 カスタマーサービス・カンパニー 法人営業部 エネルギー解析イノベーショングループ…
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コンビニ改革、コロッケ揚げる時間帯を変え売上高アップ
セブン-イレブンが語る次世代強い店づくり(2)
センサによる店舗のモニタリングを利益向上の強力なツールとして活用しているセブン-イレブン・ジャパン。省エネを目的に、コロッケなど揚げ物を揚げるタイミングを変えると、売り上げが増えることを発見した。
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コンビニ改革、電力センサが増収ツールに
セブン-イレブンが語る次世代強い店づくり(1)
セブン-イレブン・ジャパンは、センサによる店舗のモニタリングを増収・増益のための強力なツールとして活用している。当初はコンビニエンスストアの設備の省エネ化を目的に導入したが、今では売り上げ拡大のほか従業員の教育にも役立てている。同社の取締役 常務執行役員の三谷 庸氏は、もはや経営の「ディフェンス」…
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予兆を見逃すな、インフラ事故は防げる
東京大学大学院教授の藤野陽三氏は語る(2)
橋梁やトンネルなどの社会インフラが突然に崩壊する。あるいは地震で全壊する。こうした事故は、継続的なモニタリングで防げる場合がある。集めたデータから事故の予兆を発見する技術が存在し、予防的な対策が打てるためだ。モニタリングの初期コストは、1000億円近い橋に対して1億円ほどという例がある。
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安い強靭インフラはこう造る
東京大学大学院教授の藤野陽三氏は語る(1)
橋梁などの社会インフラは、シミュレーションに頼った設計で造っても“想定外”の現象には脆弱だ。しかし、地震・風や通行による影響を日常的に実測していれば、想定外だった現象に対応する方策を見つけられる場合がある。センサによる実測は、インフラを低コストに強靭化する近道となる。
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社会にはセンサ・ネットが必要だ
東京大学大学院教授の下山勲氏は語る
日本をはじめとする先進国において、人口の減少や高齢化、インフラの老朽化などは、避けられない課題となりつつある。問題は、財源の制約が強まる中で、いかに医療費の上昇を抑制するか、インフラの維持コストを低減するのかである。そのための方法の一つとして、街や建物のあらゆる場所に、センサなどのデバイスを配置し、…