建造物や医療など社会を支える基盤(インフラ)の分野に、電子部品メーカーの期待が集まっている。センサやアクチュエータをふんだんに使う用途が開けそうだからだ。建造物の老朽化といった社会的な問題の解決に、センサなどを役立てるシステムの市場が立ち上がりつつある。こうした用途を目指す「ソーシャル・デバイス」とも呼ぶべき部品の開発が活発になってきた。
ソーシャル・デバイス登場
目次
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1兆個のセンサーは、正しく活用できるのか
これから社会で使われるセンサーの数は、どんどん増えていく。現在の100倍規模の毎年1兆個を超えるセンサーが活用されるとの見方が出てきており、「Trillion Sensors Universe(1兆個のセンサーを活用する社会)」の早期実現を目指すグローバルな動きが広がっている。「Trillion …
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センサー駆使しインフラ保全、特定部分の変位やひずみ、橋の負担を把握
東京ゲートブリッジに見るインフラ監視
建設されてから30~50年を経過し、耐用年数を過ぎようとしている道路や橋は数多い。これに、インフラの保全・保守を担当する技術者たちの高齢化、人口減少が加わり、インフラの保守・保全は社会全体の大きな課題になっている。この課題解決に向けたソリューションとして注目されているのが、モノの状態変化を自動的に測…
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ビジネス活性化への切り札にも 産業界に広がるソーシャルデバイス
家電、クルマ、住宅やオフィスビルなどの不動産、電気や水道などのインフラ、さらには自動販売機やペットまで、今、あらゆるモノや場所にセンサーが設置され、ネットワーク経由で情報を収集できるようになってきた(図1)。その結果、消費者の行動をマーケティングや顧客対応に生かしたり、従業員の行動を業務改善に生か…
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エレクトロニクス業界の沃野に切り込め(3)
異業者の連携でソリューション実現
ソーシャル・デバイスの市場を拡大するために、電子部品メーカーは幾つものハードルを超えなければならない。まずは顧客に対して、部品単体ではなくシステム全体を提案できるようになる必要がある。インフラを手掛ける企業や公的機関には、電子部品の活用の経験やノウハウが少ないからだ。部品メーカーは、建築会社など異…
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エレクトロニクス業界の沃野に切り込め(2)
養鶏や農業を見える化でスマートに
「年間1兆個」が実現するのであれば、電子部品メーカーにとってビジネス・チャンスは大きい。広義のインフラ分野での利用を狙ったさまざまなセンサやアクチュエータ、エネルギー・ハーベスティング(環境発電)部品の開発が活発になっている。建造物や医療、交通機関や農業などに向けたこれらの電子部品を、ここでは「ソ…
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エレクトロニクス業界の沃野に切り込め(1)
日本と米国で“ソーシャル・プロジェクト”始動
2013年、エレクトロニクス業界の前に広がる沃野に切り込む大型プロジェクトが、日本と米国で相次いで始まる。いずれも、老朽化したインフラの維持や、増え続ける高齢者の健康管理など、今後深刻になる社会問題の解決を目指している。鍵を握る部品は、無数のセンサやアクチュエータだ。