日経テクノロジーオンライン

第3回 4年間でスモールセル市場が8倍に

2013/07/18 00:00
久米 秀尚=日経エレクトロニクス
出典:日経エレクトロニクス2013年6月10日号pp.35-36 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 今後、移動通信システムにおいてスモールセルに投資の比重が移っていくのは間違いない。スモールセル関連の業界団体、Small Cell Forumによれば「2012年から2016年のわずか4年間で、スモールセルの出荷台数は8倍になる」という(図6)。2016年には、スモールセルの市場規模は220億米ドル(1米ドル=100円換算で、2兆2000億円)まで膨らむとする。

図6 2016年には2兆円超の市場に
スモールセルの市場は、2012年から2016年の4年間で約8倍になると予測されている。(図:Small Cell Forumの資料を基に本誌が作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 この巨大市場を新規事業のチャンスと見て、既に多くの企業が動き始めている(図7)。これまでの基地局向けビジネスとは異なり、携帯電話機や無線LANに強いエレクトロニクス企業、コンピュータ・システム向けのネットワーク企業が参入してきているのが変化点だ。スモールセルだけでなく、モバイル・トラフィックの増大を吸収する現実解として、無線LANネットワークとの統合化も開発が加速している。

図7 スモールセル市場に熱視線
スモールセルに関連する最近の主な話題をまとめた。基地局メーカーだけでなく、移動端末市場を主戦場とする半導体メーカーや部品メーカー、さらにはCisco Systems社といったネットワーク企業も期待を寄せる。
[画像のクリックで拡大表示]

 エレクトロニクス企業の中でも、活発な動きを見せているのが半導体メーカーだ。こぞって小型化/低消費電力化に向けた基地局向け製品を発表している。

基地局機能のSoC化進む

 トレンドは、基地局機能のSoC化である。例えば、米Freescale Semiconductor社は、基地局装置向けのSoC製品群「QorIQ Qonverge」を持つ。パケット処理用のCPUと、ベースバンド処理用のDSPやアクセラレータ回路を1チップに集積した(図8)。「フェムトセル向けからマクロセル向けまで、処理負荷が異なる品種間で基本アーキテクチャを共通化している」(同社)のを大きな特徴とする。フェムトセル向け品は既に量産中で、ピコセル向け品も2013年内の量産に向けて移行準備を進めている段階だ。

図8 共通プラットフォームで多様なサイズに対応
Freescale社のスモールセル(ピコセル)向けSoCのブロック図を示した。フェムトセルからマクロセルまで、共通のアーキテクチャを用いることができるように設計した。(図:Freescale社の資料を基に本誌が作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 米Broadcom社や米Qualcomm社といった、携帯端末向けのSoC市場を主戦場とする企業も、新市場を意識してスモールセル向けのSoCを用意する。Broadcom社は2013年2月にRFとベースバンドLSIを1チップ化した製品「BCM61630」を発表した。同社は「この製品をキッカケにしてスモールセル市場で3~5割のシェアを獲得し、世界一になりたい」とする。

 さらに、FPGA系の米Altera社や米Xilinx社もスモールセル向けにSoCを開発した。汎用のプロセサとFPGAを組み合わせたものだ。Xilinx社によれば「SoC化することで、従来品に比べて消費電力を35%低減できた」という。Altera社は「スモールセルは携帯電話事業者や国によって仕様が大きく異なる。さまざまな要求に対応するには、FPGAを用いるのが最適」と考える。