「ゆくゆくは民生機器向けでも主流になると確信している」─。バッファローメモリ 取締役 技術本部長の沖永隆幸氏は、キャッシュ・メモリにMRAM(磁気メモリ)を用いた同社のSSD(solid state drive)について、このように語った。2012年5月にサンプル出荷を発表した同SSDは産業機器向けだが、2013年第3四半期には民生機器向けにもMRAMキャッシュを搭載したSSDを市場投入する計画である。

 MRAMは磁化の向きで情報を記憶する新型の不揮発性メモリである。NANDフラッシュ・メモリに比べてデータの書き換え速度が桁違いに速く、書き換え回数に制限がないという特徴を持つ。このMRAMをキャッシュ・メモリとして利用することで、SSDの電源遮断(電断)への耐性を高められるほか、高速化や低消費電力化が可能になる(図1、図2)。

図1 新型不揮発性メモリを利用
DRAMキャッシュではなく、新型不揮発性メモリを組み合わせることで、SSDの電断耐性や消費電力を改善できる。
[画像のクリックで拡大表示]
図2 MRAMキャッシュを搭載したSSDが登場
バッファローメモリはMRAMをキャッシュに用いたSSDのサンプル出荷を開始した。(図:バッファローメモリの資料を基に本誌が作成、写真:本誌が撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

 MRAMだけではない。ポストNANDフラッシュ・メモリの有力候補として世界中で研究開発が進められているReRAM(抵抗変化型メモリ)をSSDに利用する動きも出てきた。中央大学はReRAMをキャッシュ兼ストレージとして利用することで、SSDの性能を11倍、消費電力を93%減、寿命を6.9倍にできることを半導体回路技術の国際会議「2012 Symposium on VLSI Circuits」で発表した。