従来方式に比べてスピーカーを約1/3に薄くできる。しかも、高音質を両立しながらである。それを実現する技術が、東北パイオニアが開発した「HVT方式」だ。
カー・ステレオのウーハーや薄型テレビ、パソコンなどに搭載する超薄型スピーカーへの展開を視野に入れている。スピーカー開発のジレンマを解消した日本発の技術である。同社の開発担当者が解説したHVT方式の技術の詳細や効果、今後の展望を紹介しよう。
スピーカーを約1/3に薄くできる技術
目次
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新たな方向を目指して
格段に薄型化を果たし,動作も安定してきた。だが,入力を大きくすると,依然として各パーツ間の共鳴やボイス・コイルの上下動が起こる。これは,音質および製品寿命にもかかわるため,何としても取り除く必要があった。
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古きを温ね新しきを知る
HVT着想当時は「ヒンジ機構を介して音を出してもよいものか」と散々悩んだ。だが実は,WE540Aも折れ曲がり部を使いながら,音を出していた。振動板に折れ曲がり部があり,全体で音を出す仕組みだった。WE540Aとの出合いは2002年。あるきっかけで,詳しく見たり聞いたりするチャンスがあった。周波数レン…
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薄いスピーカーのヒントは絵本にあった
HVT方式の開発に着手したのは,2006年である。パイオニアの企画部門より,「自動車の内装にピッタリと添うようなスピーカーはできないか」「外からはあまり見えず,車内ではそれなりの存在感があるサテライト・スピーカーが欲しい」というリクエストを受けたことがキッカケだった。
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広がる性質、直進する性質
ジレンマを解消する「HVT方式」の実現技術(第4回)
HVT方式はその薄さ故,無指向性スピーカーの設計が容易である。その理由を語る前に,ここで少しスピーカーの指向性について触れたい。
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薄いからこそ、できること
ジレンマを解消する「HVT方式」の実現技術(第3回)
HVT方式は薄型・高音質以外にも大きな特徴がある。それは,スピーカー構成のバリエーションの多さ,不要振動の少なさ,無指向性スピーカーへの発展性,である。
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薄くても高音質にできる仕掛け
ジレンマを解消する「HVT方式」の実現技術(第2回)
HVT方式と従来のスピーカーの違いは,両者の構造を比較すると,より明確となる。そして,高い音質を備えたまま薄型化できるHVT方式の利点もはっきりと見えてくる。
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なぜ薄いスピーカーが必要か
ジレンマを解消する「HVT方式」の実現技術(第1回)
従来方式に比べてスピーカーを約1/3に薄くできる。しかも、高音質を両立しながらである。それが、東北パイオニアが開発した「HVT方式」だ。カー・ステレオ向けのウーハーや薄型テレビ、パソコンなどに搭載する超薄型スピーカーへの展開を視野に入れている。同社の開発担当者に、日本発のスピーカー技術の効果や今後の…