動作時間の変動要因とは?

 では、どうしてそのような時間差が生じるのだろうか。具体的な例を見ながら考えていこう。

図3●組み立てと分解の動作時間の変動幅
図3●組み立てと分解の動作時間の変動幅
携帯端末やパソコン、テレビ、自動車部品などの工業製品を対象に、組み立てと分解の動作にかかった時間を計測した。

 組み立てと分解の動作において、動作時間に差を生じさせる例を図3に示した。図中の組立動作[2]の「つかみ直す」では、円柱状の部品を穴の中に挿入する事例を取り上げている。ここで部品の形状をよく見ていただきたい。最小時間の左の部品は上下対称の形状をしているため、向きを整えることなくそのまま穴に挿入することができる。よって、「つかみ直す」という動作時間はゼロ。一方、最大時間の右の部品では、一端がテーパ状の上下非対称形状のため、挿入する前に正しい向きに部品を整える必要があり、「つかみ直す」動作が生じる。その結果、動作時間は長くなるわけだ。同じ動作でも、部品の形状によって動作に要する時間が増減することが分かる。

 同じく図3の組立動作[4]の「方向調整」ではどうだろうか。今度は、最小時間の例も最大時間の例も、同じ上下対称の円柱部品を手に持っている。ただし、挿入する穴の位置と方向が異なる。最小時間の左は、上面からそのまま挿入するので方向調整にかかる時間はゼロ。対して最大時間の右は、挿入する穴が側面にあるため方向調整が必要になる。

 このように、部品の形状や構造の違いは、組み立ての動作時間に大きな影響を及ぼすのだ。