会場からD氏 建設コンサルタントで、VEをサービスとして公共事業の手伝いをしていますが、価値の基本式で非常に悩みながらやってきました。行き着いたところは、横田先生がおっしゃった、Fを定量化すれば無次元化できるということで、それもやりました。Cも当然数字がありますので、無次元化同士でしっかり出せます。ところが、ワークショップなどやっていると、Fそのものにも要求の強い弱いがあり、それについて前のステップでもっとしっかりやっておけばよかったというような意見が出てくるんです。

 チームで答えを出すときに、もしかしてこれは偶然ではないだろうかという悩みに陥ってしまった経験が繰り返しあるんです。突き詰めていくと、1つのテーマを同じ情報で、同じ制約条件で、同じチームが3回続けてVEをやった結果と、同じことを三つのチームが並行してやった答えがどうなるか。当然、違うだろうという悩みです。

 これが最終的な答えだと言えるだろうかという悩みをぶつけられ、それに対しては「VEは絶対1つでありません。チームが創造するもんです」と言うんですが、心の奥で納得しない。こういったものは、手法とか理念とか、いろいろなことはあるんですが、根底に、VEそのものの社会的な地位というか、何かよりどころがないところを感じるんです。今後のVEというお話で、社会的な地位を高める方法として、何かご意見を伺いたいと思っています。

横田 ありがとうございます。価値が表現されれば、今、言われたように、もっと違う意味付けができるとは思います。佐藤さんいかがですか。

佐藤 そこは僕ももやもやしていて、Fに対する満足度の違いでもあると思うんです。ですから、チームが出力するときに、Fに対する満足度をどう捉えるかということで、答えは変わるんじゃないかと思います。

 ですから、私は結構早いタイミングで投げ掛けた、概念式は認めるけれども、これをいろいろな項目ごとに数値化して足し算するのは、単純にはできないんだと。だから、むしろ個別に目標を置いたほうがいいというふうに切り替えているんです。