近接無線通信技術「NFC(near field communication)」は、日本の「おサイフケータイ」と大差ないもの──。もし、そう考えているなら、それは正しくない。NFCの本当の価値はスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末がリーダー/ライター(R/W)機能を備えることにあるからだ。安価なNFCタグを積極的に活用できるようになる。この結果、あらゆる場所とモノがインターネット・サービスとつながりを持つようになる。ネットワーク接続機能を持たない白物家電やヘルスケア機器でも、スマートフォンを通じてインターネットに接続し、多様なクラウド・サービスと連携を始める。この連載では、このインパクトを解説する。
NFCで開け!
“タグ”が生み出す新たな扉
目次
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第8回 NECビッグローブ:タグ入りストラップをSNSの入り口に
NFCタグは安価で、どんなものにでも気軽に貼り付けられる。そんな利点を実感できる事例が、ここ最近で増えている。キーホルダーやストラップなどに単純タグを搭載している他、販促のために展示会場で配るようなノベルティー・グッズでも利用が始まっているのだ。
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第7回 慶応義塾大学:スマホを実生活のリモコンに
「コンピュータ内のGUIを実世界で実現する『実世界GUI』にうってつけの技術」と、慶応義塾大学 環境情報学部 教授の増井俊之氏は、NFCに対して期待を寄せる。同氏は、NFCのR/W機能を搭載したスマートフォンを実空間上の操作インタフェースとして用いる研究 に力を入れる。
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第6回 パナソニック:スマホを窓口にクラウドと連携
デジタル家電の価格下落に苦しむ中、同家電よりも値崩れしにくい白物家電やヘルスケア機器に注力する日本企業が増えており、開発競争が激化している。その競争を勝ち抜く“切り札”としてNFCを選んだ企業が、パナソニックだ。
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第5回 始まったNFCタグの活用、機能拡張やネット連携に威力
2012年後半から、NFCのリーダー/ライター(R/W)機能を搭載した機器と安価なNFCタグが急増する。これを見越して、NFCを活用した機器や サービスの開発に本格的に乗り出す企業や大学などが現れ始めた。NFCのキラー・アプリと呼べるものがまだ誕生していないだけに、いち早く主導権を握ろう と力を入れ…
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第4回 低コストと直感的操作で圧倒
一方、アクティブ・タグは場所やモノとデジタル空間を結び付ける機能に加えて、機器の制御にも活用できるのが特徴である。
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第3回 場所とモノとネットをNFCタグが結ぶ
スマートフォンと対をなし、新しいサービスを生み出す大きな要素の一つがNFCタグである。NFCタグは2種類に大別できる(図1)。一つは、R/WからメモリにURLやメール・アドレスなどの情報を書き込んだり、R/Wから同情報を読み込んだりできる「単純タグ」。もう一つが、タグを搭載した機器のマイコンなどから…
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第2回 2012年末にNFC対応端末やタグが急増
機能面とコスト面に変革をもたらすNFCだが、本当にスマートフォンにR/W機能が搭載されるかどうかが普及の鍵を握る。しかし、この問題はもはや解決済みだ。R/W機能を搭載したスマートフォンは2012年後半を皮切りに一気に増えるからだ(図1)。
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第1回 NFCがもたらす主従逆転
近接無線通信技術「NFC(near field communication)」は、日本の「おサイフケータイ」と大差ないもの─。もし、そう考えているなら、それは間違いだ。スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末がリーダー/ライター(R/W)機能を備えるようになるからだ。