機能設計を対象とする標準化(下)

③機能設計手順の定義

 仕様/諸元のリストが完成したら、続いて機能設計の手順を定義する。手順の良しあしが設計効率に大きく影響することはもちろん、機能設計の標準化には適切な手順が必要だからだ。機能設計の標準化では、ムダな繰り返しや試行錯誤の解消も目指す*1

*1 本質的に繰り返しや試行錯誤が前提となる検討の標準化は困難であり、技術的な確立を待たなければならない。例えば、設計検討後に都度実験をして性能を確認するようなものである。そのような検討は、標準化の対象には適さない。

 筆者は以前、サーボモータを用いて負荷軸を回転させる装置において、機能設計の標準化を支援したことがある。主な検討項目としては、どのサーボモータを使用するか、減速にどのようなギア列を用いるか、それとも市販の減速機を用いるか、加減速時のトルクと回転数を両立させるためにダブルクラッチを用いるか、などだった。

 これらの検討は過去の設計実績に基づいて行えば、図面を描かずに表計算ソフトを用いて行える。実現可能な組み合わせは非常に多く、その中からベストと思われる1つを選ぶためには繰り返し検討が必要だった。

 しかし、このような繰り返し検討は本質的な試行錯誤が必要な検討ではなく、多くの実現可能なパターンの中から適切だと思われるものを選択しているにすぎない。機能設計の標準化の目的は、このような作業を軽減し、設計者に依存した亜種を検討結果に基づいて解消することである。