設計の標準化とモジュール化の取り組みでは両者を明確に分けること、そしてこれらを設計プロセスの「機能設計」と「形状設計」それぞれに対して適用することが、筆者らの手法の特徴である。今回から6回にわたって、標準化とモジュール化を実現するための実行手順(実際の作業の流れ)を取り上げる。実行手順を、標準化とモジュール化、機能設計と形状設計という4つのキーワードで整理すると、のようになる。第25~27回ではまず、機能設計における標準化の作業①~⑤と、同モジュール化の作業⑥を説明する。

図●設計の標準化・モジュール化の実行手順
今回からの3回は機能設計を対象とした標準化・モジュール化(①~⑥)について説明する。なお、図の手順では、標準化の対象となる製品ファミリーがどのような仕様の範囲をカバーするのかについては定義済みであることを前提としている。
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 機能設計は、主に設計対象が形状に落とし込まれる前の段階のため、仕様や設計諸元といった概念的な情報だけが存在している。従って、純粋に機能や性能を実現するための設計手順やロジックに焦点を当てており、特定の仕様を前提とした形状や派生機種などは考慮しない*1

*1 これに対して形状設計は、特定の仕様に基づいて具現化する設計作業に焦点を当てる。さらに、どこまでの派生機種を標準モジュールの組み合わせから実現させるのか、すなわち、できる限り組み合わせ型アーキテクチャで派生機種を実現できるような方向を目指す。