機能設計と形状設計の2段階で

 標準化とモジュール化は、機能設計と形状設計の2段階に分けて行う。機能設計は企業によって基本設計や計画設計、概要設計などと呼ばれる設計業務を指し、設計上の主要な諸元を決定する。レイアウト設計のように図面を描く作業もあるが、多くは技術計算などの検討である。

 一方の形状設計は詳細設計などと呼ばれ、機能設計で決定された内容に基づいて、3次元CADなどを使って具体的な形状として完成させる*1。つまり、標準化・モジュール化を、物理的な形状を持たない段階と持つ段階の2回に分けて行うのである。

*1 別の言い方をすると、機能や性能を作り上げる検討が機能設計、これに熱や振動、または物理的干渉などに代表されるさまざまな課題・条件に対処するための検討を加えたものが形状設計となる。製品によっては、機能設計と形状設計を橋渡しするレイアウト設計(機能設計の一部)が重要になる。レイアウト設計はそのロジックを数式などで表現しにくく、あいまいな暗黙知になる傾向が強い。極めて限定的な属人的ノウハウになりやすく、機能設計の標準化でも苦労する部分である。

 機能設計と形状設計に分ける理由は、形状を持った段階での標準化・モジュール化の難易度が高いからだ。干渉などのありがたくない相関関係が部品間に存在するため、必要な機能を持ち、十分な性能を出せるモジュールであっても組み付けられなかったり、他の部品と干渉したりすると使えない。そこで、初めにこのような問題が発生する形状設計(物理的な形状を決める工程)を除外して考える。

 機能設計を対象とする段階では、物理的な形状に起因する問題に悩む必要はない。機能や性能という、製品の仕様や諸元で表現できる形のない要素を対象としているからだ。結果、形状にとらわれず、製品に合った合理的な標準化とモジュール化の設計図が出来上がる。