震災後に一変した日本
残念ながら日本では「日本の電力網の品質は高い。だから、電動車両から電力供給を受ける必要性はない」との立場を電力会社は取り続けてきた。自動車メーカー側も当初は、走行用途以外に車両の蓄電池を使用すると「蓄電池の劣化を誰が保証するのか」といった課題があるとして、V2H(Vehicle to Home)やV2G(Vehicle to Grid)への積極的な関与はしてこなかった。
しかし、この状況は2011年3月11日の東日本大震災で一変した。震災による停電をはじめ、その後に発生した原発の事故の余波によって日本全体で電力不足が懸念されている。しかも、日本では新規の原発の建設が難しい状況になっている。こうした状況から、日本でもV2Hへの関心が急激に高まっている。
そのため、米欧よりも早く「2015年ごろからV2Hが本格化する」(自動車関係者)との声も出始めている。例えば、ホンダは2012年3月に2戸の実証住宅とEV、PHEVを用いたV2Hの実証試験をさいたま市と共同で開始する。同社が試作したエネルギー管理用ユニット「スマートイーミックスマネージャー」には、既に自動車から住宅に給電するための200Vの端子が用意されている(図)。ホンダは2015年の商品化を目指して、対応車両の販売だけでなく、エネルギー管理用ユニットの外販も視野に入れているという。