新製品が次々と登場する電機業界と,同じ製品が10年以上も使われ続ける自動車業界。 この二つの業界が歩み寄ることで生み出された,Ford社の車載システム「SYNC」。 米国で大ヒットしたこの製品の開発に携わったのは,自動車業界とは無縁の一人の技術者だった。
連載
Ford社のテレマティクス・システム「SYNC」の開発
目次
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最終回:業界最低ランクからイノベーションの目玉へ
車載テレマティクス・システム「SYNC」の製品化に向けて動きだしたFord社。開発チームには,試作機の開発が課せられることになる。ただ,彼らに与えられた時間は従来の自動車業界の常識から考えると,あまりにも短かった。
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第2回:1億ドルを捨て低価格車に命運託す
車載向けテレマティクス・サービスの実用化を目指すFord社は,1億米ドルを投資して新会社を設立した。ところが,間もなくシステムをめぐって大きく方針転換することになり,新会社にも従うように迫る。遅々として進まない交渉に,やがて大英断が下された。
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第1回:あなたは自動車のことをどこまで知っていますか?
1996年,春。米国ミシガン州では厳しく長い冬がようやく終わりを告げたものの,まだ雪があちこちに残っていた。そんな光景を,1歳になる自分の子供の面倒を見ながら,デトロイト周辺のホテルの一室から眺めている男がいた。シリコンバレーにある米Ricoh Americas Corp.に籍を置く研究者,K. V…