発売後の勢いは,その後も衰えることはなかった。3万台売れればヒット商品という電子文具の中で,DM10は約1年間で累計販売台数9万台を達成することになる。

次はいつ出せるんだ

 DM10の発表後,DM10に対する社内の期待は日に日に高まっていった。既に発売前の時点で,後継機種への期待が社内で語られるほどだった。

 立石と佐久間は自然の流れで,後継機種の開発に着手する。DM10の開発時は会議で反対意見が相次ぎ,企画を通すのが大変だった。しかしDM10の成功で,立石と佐久間は社内で一目置かれる存在になり,両者の意見は会議で通りやすくなっていた。

 2009年2月の開発会議では,次世代機「DM20」の開発にすんなりとゴーサインが出た。反対意見どころか,

「早く着手しろ」

「いつなら出せるんだ」

と,催促する声もあったほどだ。

 開発が決まったDM20の目玉機能の一つとして,亀田が温めてきたアイデアがあった。立石と佐久間は即座に賛成したが,意外な人物が強く反対した。

「また同じ苦労を繰り返すつもりか!」=敬称略