スマートフォンの急速な普及と連動して、位置情報を取得するための基盤が整ってきた。この影響は、民生機器のみならず、これまでゆっくりと位置情報の利用を広げてきた産業機器にも及ぶ。測位技術があらゆる機器やサービスへと広がり、高精度な位置情報を安価に使える世界が訪れる。
連載
決め手は位置情報
目次
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第6回:<運ぶ>速度超過の件数がゼロに
鉄道など人や物を運ぶ分野では,安全のために位置情報の利用が欠かせない。近畿日本鉄道(近鉄)とJR貨物はそれぞれ,2008年3月にGPSを利用した運転支援システムを導入した。今後,衛星測位の精度が高まれば,さらに安全に人や物を運ぶことができると期待を寄せる。
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第5回:<守る>防災意識の高まりで需要が拡大
2008年6月に東北内陸部を襲った岩手・宮城内陸地震。大規模な土砂崩れなどで20人を超す死亡・行方不明者が出た被害は記憶に新しい。
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第4回:<予測する>データの増加と精度向上で革命
「携帯電話機やスマートフォンのGPS機能の普及が,気象予報に革命をもたらしている」。
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第3回:<作る>農業を“面”から“線”へ
農業や土木など物を作る分野では,作業品質を高めながら効率よく作業するために位置情報の利用が広がり始めている。将来は無人システムなどを導入することで,さらに作業の効率化を可能にする。
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第2回:<動かす>エンターテインメント性を有効活用
位置情報は、SNSや“位置ゲー”だけでなく、農業や土木、気象予報に災害防止、さらには通勤などで利用する鉄道の安全運転にも貢献している。ここからは、人々の生活に浸透しつつある位置情報の最新事例を見ていこう。
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第1回:キッカケはスマートフォン、位置情報利用の基盤が整う
測位技術は従来、カーナビなど一部の機器での利用にとどまっていた。しかし最近では、iPhoneやAndroid端末といったスマートフォンの普及によって一気に用途が拡大する兆しが見えてきた。スマートフォンは、位置を測定できるGPSや各種センサを搭載している上に、画面が大きく地図などを表示しやすいからだ。