電子マネーにもType A/B化検討の動き

 地域を移動しながら使われるクレジットカードと比べて、サービスが地域に閉じた電子マネーは利用技術が独自であっても、システム的に問題が少ない。しかし、そうした電子マネー事業者にも非接触カード・サービスのType A/B化を検討するところが出てきた。NFC導入に当初から協力的だったセブンカードサービスは、NFCケータイの商用化に合わせてnanacoのカードを近い将来Type A/Bに切り替えることを具体的に検討している。その理由は、nanaco用に展開が進むリーダー/ライターは既にType A/B方式の読み取りが可能であること、またプラスチックカードをFeliCaからType A/Bに変更することで、その調達コストを大幅に削減できると考えたからである。実際、Type A/B方式のカード調達コストは安いもので20セント程度という事例があるようだ。FeliCaは最も安いものでも、その数倍~10倍程度以上と言う。

 ところで、決済端末(リーダー/ライター)メーカーには日本市場のみならず世界市場へ向けた商品開発に積極的なところが多いようだ。最近は海外における国際調達の調達基準にNFC準拠が明記されることが多く、そのためリーダー/ライターをあらかじめNFCに準拠する傾向にある。同じ製品を日本向けはFeliCa用、海外向けはType A/B用として販売するところも増えている。nanaco用のリーダー/ライターを製造するパナソニックは、本来の要求仕様はFeliCaのみだったが、こうした事情から当初からType A/Bも対応していた。こうした事情から、nanaco以外の非接触カードを使ったサービスでも、サービス事業者が決断すれば、比較的容易にFeliCaからType A/Bへの移行が進むと思われる。