中国FPD産業の発展状況を知るためには、企業の動きを把握するだけでは不十分である。国全体の大局的な方向を決定する「5カ年計画」や、業界を統括する組織から発せられる指針も重要な情報となる。これらの情報は、日本にいるとなかなかつかみにくいものであるが、現地の様々な会議やイベントの際にその一端が出てくることが多々ある。その一例として、今回は、「中国電子視像行業十二五発展若干意見」を取り上げる。

 この「中国電子視像行業十二五発展若干意見」は、2011年1月18日に北京で開催された「中国電子信息産業経済運行及びカラー・テレビ業界研究発布会」の2010年第4四半期を総括する会議で、中国電子視像行業協会 秘書長の白為民氏が同日付で発布したことを明らかにしたものである(Tech-On!関連記事)。この「中国電子視像行業十二五発展若干意見」には、中国の「第12次5カ年計画(十二五)」の政策に沿った、拡大する中国FPD産業の背景を理解する上で重要な内容が含まれている(「中国電子視像行業十二五発展若干意見」の中国語全文)。全文は約6000文字からなり、主に8つの項目に分けられている。以降では、その要点を解説する。

“電子視像産業”の位置付け、役割、カバー領域

 電子視像行業(電子視像産業)とは、カラー・テレビなどの映像機器を中心とする産業である。この電子視像産業がカバーする主な領域は以下の通りである。

●音声および映像信号を受信および表示する端末(デジタル・テレビの設備やシステムなど)
●音声および映像信号を取り込みしコーディング/デコード処理や記憶をする装置(デジタル・カメラなども含まれる)
●大型投影装置およびシステム(プロジェクタ・システムなど)
●映像端末デバイス(専用電子部品など)
●デジタル家電と映像監視システム
●立体映像システム(3D信号発生処理システムと製品など)
●4C(民生用電子機器、コンピュータ、通信、コンテンツ)を統合する製品および応用サービスなど

 2010年10月18日に国務院から発布された「戦略性新興産業の育成及び発展に関する決定」(中国語の全文)では、新興産業を戦略的に育成・発展させ、情報技術産業の新しい時代を築いていくことに力を入れている(最終ページの別掲記事を参照)。電子視像産業においても、この決定を徹底するために、「第12次5カ年計画」期間における健全かつ継続的な発展のための目標を指示した。また、デジタル化、FPD化、高精細化、ネットワーク化、グリーン化、スマート化などが融合し発展していく情勢を踏まえて、上述の「中国電子視像行業十二五発展若干意見」を編成した。