三洋電機は,米からパンができるホームベーカリー「GOPAN」を2010年11月11日に発売した。
発売1カ月を待たずに2011年3月までの販売計画を超える予約が殺到するなど,
大人気を博している。
米からパンという発想の実現には,5年の歳月が費やされていた。
米からパンを作れるホームベーカリー「GOPAN」の開発
目次
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最終回:どうしたらいいんだ
2010年7月13日,ついにGOPANの発表会の日がやって来た。発表会の当日,プロジェクト・チームでプロモーションを担当していた古長亮二(現・三洋電機 マーケティング本部 事業企画部 マーケティング二課 課長)は,「人生で一番長い朝の時間」を感じていた。
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第7回:おなかが減ったので
三洋電機全社を挙げての強化育成事業となった「GOPAN」。2010年初頭には,三洋電機本体のプロモーションや渉外,海外営業,広報などの部署を含めたプロジェクト・チームが結成された。一方,中国のEMSでの生産体制を構築するべく,開発陣は中国への出張を繰り返していた。
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第6回:えーい,5万8000台で
「モチモチで甘い。本当においしい」佐野の反応は予想以上に大きく,三洋電機全社を挙げての強化育成事業となった。2010年初頭には,三洋電機本体のプロモーションや渉外,海外営業,広報などの部署を含めたプロジェクト・チームが結成される。
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第5回:机の上に載らないぞ!
米からパンを作れるホームベーカリー「GOPAN」の開発(第3回)米を水に浸してペースト状にするという方法を見いだしたホームベーカリーの開発陣。商品化を加速させるため,回転器事業を手掛ける加西事業所の協力を得る。2008年末には鳥取から加西に技術者を送り込み,ミル機能の内蔵化を進めていた。
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第4回:黒物から白物担当へ
「もしもし渡邉です。先輩ですか? 今度,そちらの炊飯器の部署にどうやらお世話になりそうなので,よろしくお願いします」
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第3回:水に浸したらどうなるの?
「何をやっても,うまくいかない」─。「新ベーカリー」の開発は,行き詰まりを見せていた。そして,有効な解決策がないまま迎えた2008年初頭,米をひくことが可能な市販の電動ミルがあることを知る。
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第2回:じゃりじゃりするねぇ
その後も試行錯誤を繰り返したものの,うまくいかない。細かくならないのは,乾燥した米が非常に硬いためだ。石臼のように砕く方式では,ある粒度以下には細かくならなかった。
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第1回:生米を何とか粉に
2010年7月13日,三洋電機は米をパンにしてしまうホームベーカリー「GOPAN(ゴパン)」を発表した。GOPANの最大の特徴は,米をペースト状にするミル機能を設けたこと。米から1斤のパンを作るには,ご飯を炊く際と同様に洗った米220g,水210g,砂糖16g,塩4g,ショートニング 10g,小麦グ…