政府へのアピールの場

中国で電気自動車(EV)のモーターショーが開催された─。

図1 中国の電動車両技術が誇示される“モーターショー”
もともとシンポジウムが主体のEVSだが,今回は中国の威信をかけた電動車両の“モーターショー”と呼ぶべきイベントになった(a)。多くの企業が中国政府にアピールするべく新車を精力的に発表するとともに,電動車両を出展した(b,c)。
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 そう言ってもおかしくないほどに,中国・深セン市で開かれた電動車両のシンポジウム/展示会「25th World Battery, Hybrid and Fuel Cell Electric Vehicle Symposium & Exhibition(EVS25)」(2010年11月5~9日)では,例年のEVSと比べて異例の光景が広がっていた(図1)。広い展示会場内に所狭しと200以上の中国のEVメーカーや電池メーカーなどが出展し,各社が精力的に新型EVを発表した。

 EVSは本来,電動車両関連の技術者が集うシンポジウムの場である。世界各地でおおよそ1年ごとに開かれ,今回で25回目となる。従来,“脇役”だった展示会は今回,完全に“主役”に回った。「マンネリ化している先進国の“モーターショー”と比べても,はるかに活気がある」と,日本から参加した技術者の間にはただただ驚きの声が広がるばかりだった。

 展示会のみならず,もともとの“主役”であるシンポジウムの場でも,中国の存在感は際立っていた。投稿された751件の論文のうち,413件が中国の企業や大学などによるものだ。これは,実に半分以上を占める。「世界のEVを引っ張るのは中国だ」と言わんばかりの様相を呈していた。