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5000人を超える死者を出した阪神大震災だが,LSI産業,LCD産業への影響は比較的軽微にとどまりそうだ。当初,被害が大きいと見られていたKTIセミコンダクターや三菱電機,ホシデンでさえ,すでに復旧しつつある。これは地震から受けた被害が軽かっただけではなく,復旧への対応が迅速に進んだことが大きな要因。近隣に関連企業が集中していたことが幸いした。被災したメーカーに,周辺の系列企業や装置・材料メーカーが対応,早期復旧に貢献した。生産や開発の拠点を選ぶ際,災害の起きにくさだけではなく,復旧に必要なインフラが整っているかにも配慮すべきだと今回の震災は示唆している。

 1995年1月17日未明に起こった阪神大震災は5000人を超える死者を出し,阪神地区の産業に大きな爪痕を残している。しかし幸いにも,LSI産業やLCD産業に関しては,その影響は比較的軽微にとどまりそうである(図1表1)。軽微にとどまることに大いに役立った事実が二つある。一つは,LSIやLCDの関連メーカーでは地震から受けた被害自体が軽かった点である。もう一つは,復旧への対応が迅速に進んだという点である。今後は今回の震災を教訓として生かし,さらに災害対策を強化する動きが出ている。

図1●関西地区にあるLSIやLCD関連の拠点
今回(1995年1月)の阪神大震災の被災地区やその近辺にあるLSIやLCD関連の生産拠点や研究開発拠点を示した。KTIセミコンダクターはLSI製造のために米テキサス・インスツルメンツ社(Texas Instruments Inc.)と神戸製鋼所が共同出資して設立した会社,ディスプレイ・テクノロジーはLCDパネル製造のために東芝と日本アイ・ビー・エムが共同出資して設立した会社である。
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