COLLEGE 製造業の“本当”を探求
 

第1回:ふんわり,そっと出せばいい(上)  

坂本真一
2010/11/09 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2000年12月18日 、pp.179-183 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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成熟商品の代表格である掃除機。 約550万台/年の安定した需要を家電各社がし烈に奪い合う。 主戦場となっているのは,製品価格が5万円以上の高級機種市場。 1999年~2000年にかけて、40万~50万台/年とされる高級機種市場の, おおよそ半分に当たる24万台を1999年9月の発売後1年で獲得した掃除機がある。 三洋電機の「排気が少ない」掃除機である。 工場生産が間に合わないほどのヒット商品となった 掃除機の開発物語を紹介する。

三洋電機の「ジェットターン」では,モータで起こした空気流をブラシ側に還流させることで掃除機から出る排気の量を減らしている(上)。 (左)は,同社が販売促進用に作成したイメージ図である。左側が従来の掃除機,右側が排気の少ない掃除機。(図:三洋電機)

 1997年9月,守口市にある三洋電機本社で回転機事業部の定例会議が行なわれていた。集まったのは技術担当と製品企画担当,営業担当の面々。議題は1998年末に発売予定の掃除機について,である。

何でもいいからゼロにしろ

図1 日向幸一氏
ホーム・アプライアンスカンパニー営業統括部家事・健康商品販売企画部部長。「排気が少ない掃除機」の立案者である。もともとは掃除機の設計技術者だった。(写真:山田哲也)

 会議は冒頭から紛糾を続けていた。その火種となったのは,製品企画担当の日向氏が出した2種類の提案である(図1)。

「何なのそれ?」

 いずれの提案も,技術担当や営業担当から火の出るような攻撃にさらされていた。それも当然。提案とは,一つが何と「排気が出ない掃除機」,もう一つが「音が出ない掃除機」だったからだ。

 営業担当と技術担当はあからさまに渋い顔つきで言い放つ。

「今年出した機種は静かさを売りにしたけど,市場での反応はさっぱり。音をまったく出なくしたら,突然売れるとは考えられない」

「売れる売れないの問題以前に,技術的にみてかなり困難だよ」

 これを受け流すように,日向氏は自論を説き始めた。

「今回の提案は,ゼロにできるものを探した結果なんです」

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