先進国に続き中国でも市場が急速に伸びているLEDバックライト搭載液晶テレビ(「LED TV」とも呼ばれる)の動向を伝えるとともに,中国市場特有の課題を,中国現地の調査会社の視点で分析する。LEDバックライト液晶テレビは,中国内外のテレビ・メーカーの積極的な戦略により,市場が急成長している。その一方で,中国のLED関連企業は規模が小さいところが多く,しかも特定の分野に集中している。LEDバックライトの川上から川下にわたる“産業チェーン”はまだ十分に確立しておらず,今後の健全な市場成長に向けては課題がある。このような状況に対して,将来に向けたいくつかの提言をする。

短期間に爆発的な成長を遂げたLEDバックライト液晶テレビ

 中国では,2009年にLEDバックライト液晶テレビが家電市場に登場し、消費者の目に止まるようになった。その後,LEDバックライト液晶テレビは急速な成長期に入った。特に,2010年から中国内外のテレビ・メーカーが相次いで積極的に参入したことでLEDバックライト液晶テレビの品ぞろえが豊富になり,さらにその平均価格が目に見えて下がり始めたことで,中国で販売されるテレビ全体に占めるLEDバックライト液晶テレビの比率は急拡大を続けている。

 当社の調査によると,LEDバックライト液晶テレビの小売販売台数の浸透率は,2010年1月時点ではわずか3.7%だったのに対して,7月には13.5%に急上昇した。金額ベース(小売売上高)での浸透率も9.0%から23.2%に上昇しており,LEDバックライト液晶テレビの爆発的な成長の勢いが見て取れる(図1)。

売り上げと普及率
図1 中国市場のLEDバックライト液晶テレビ小売規模および普及率
単位:ボリューム(万台),売上高(億元)。AVCのデータ。

 今後も,川上のパネルの増産とテレビ・ブランド企業の積極的な販売が続き,製品価格も徐々に下がり,大衆化が進んで,LEDバックライト液晶テレビに対する一般消費者の認知度はますます上昇していくだろう。2010年中もLEDバックライト液晶テレビの爆発的な成長の勢いはまだ続く見通しである。2010年前半のLEDバックライト液晶テレビの普及率は14%であるが,年末には25%まで達すると当社は予測する(図2)。

市場予測
図2 2010~2011年のLEDバックライト液晶テレビ規模予測
単位は万台。AVCのデータ。