新興国市場の急成長に伴い、全世界に向けて効率的に新製品を開発・供給する仕組みが欠かせなくなっている。その有力な解となり得るのが、「設計の共通化」によって調達コストや生産コストの低減を実現するモジュラーデザインだ。ここ最近になって、多くの企業が「世界共通設計」や「共通プラットフォーム」の構築を急いでいるが、こうした動きはモジュラーデザインの考え方に基づいたものといえる。

 こうした中、長年の課題だった設計の共通化に本格的に取り組み始めたのが日産自動車である。同社は、モジュラーデザインという表現こそしていないが、新型小型車「マーチ」に採用した新型プラットフォームの設計思想は、まさにモジュラーデザインだ。親会社である仏Renault社とのプラットフォームの共用も視野に入れた日産自動車の戦略を、事例に基づいて解説する。