部品生産の多くは切削加工で行われる。できるだけ短い加工時間で高品質な切削面を得る技術開発は今日においても着実に進展しており、とりわけ金型部品の加工には、先進的な切削加工法である高速ミーリングの適用が増えている。切削加工について知ることは、部品の品質とコストについて多くを知ることでもある。

 切削加工の現状はどうなのか、どのような方向に発展していこうとしているのか、海外の技術水準はどのようなものなのか。高速な主軸回転と微小な切り込み量を条件とする高速ミーリングを前提とした切削加工の最新動向を、第一人者である松岡甫篁氏に解説してもらう。(日経ものづくり)

松岡甫篁(まつおか・としたか)
松岡技術研究所 代表取締役
日立製作所・SECOツールズ,GEなどの勤務を経て1987年,(株)松岡技術研究所を設立。技術士(機械部門),博士(工学,東京大学)。高速ミーリング研究,CNC切削加工技術,切削工具開発,金型生産技術,新製品開発,生産技術に関する教育など企業の技術顧問,異業種交流のコーディネーターを行う。著書は,『はじめての切削加工』(工業調査会),『プラスチック金型ハンドブック』(共著,日刊工業新聞社),『高速ミーリングの基礎と実践』(日刊工業新聞社),『型技術便覧』(共著)など多数。主な受賞は,型技術協会・功績賞,技術賞など。