COLLEGE 製造業の“本当”を探求
 

第1回:フェルトペンに教えられました

田野倉 保雄=日経エレクトロニクス
2010/04/27 00:00
出典:日経エレクトロニクス、1998年11月30日号 、pp.133-135 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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 三洋電機が1995年に発売した角型Liイオン2次電池。Al合金を電池の外装缶に使うことで,スチール缶を使う従来品に比べて重量を30%程度軽くした。この軽さが受け,携帯電話機などで次々と採用されるようになる。このヒットをテコに三洋電機はLiイオン2次電池市場でシェアをじわじわ高め,いまやトップを争うまでになった。

 1990年初夏,三洋電機洲本事業場にある実験室で,一人の男がこれから始める新しい実験の準備を進めていた。「さて,これでだいだい準備はできたな」。

 そこに突然,上司から電話が入る。「アマちゃん,悪いんだけどちょっと来客室まで来てくれない?」。何の用だろう。首をひねりつつ,彼は指示された来客室へと向かった。

 「失礼します」。部屋のドアを開けると,数人の外国人が上司と何やら話し込んでいる。「あー,アマちゃん悪いね。こちらは,携帯電話機メーカの方。ウチのNi-Cd 2次電池のユーザさんなんだけど,Li2次電池に興味があるんだって。簡単でいいから,現状を説明してくれないかな」。

 突然そう言われても困るなぁ。そもそも,新しい成果と呼べそうなものは何もないんだけど。まあ,適当に説明しておこう。彼は心の中でつぶやいていた。

こんな話しかありません

 「アマちゃん」と呼ばれる彼こそが,のちにAl合金を外装缶に用いた角型Liイオン2次電池を開発し,今回の物語の主人公となる人物,雨堤徹氏である(図1)。当時,雨堤氏は入社8年目。油が乗り切ったバリバリの中堅技術者である。

図1 三洋電機が販売しているLiイオン2次電池
図1 三洋電機が販売しているLiイオン2次電池
販売する電池のうち,角型Liイオン2次電池の外装缶でAl合金を採用している。円筒型の外装缶はすべてスチール製である。(写真:三洋電機)

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