エネルギー問題の解決に向けて,これまで未開拓だった海と宇宙の活用を提案する。海では今後,船舶のCO2排出量削減に向けた取り組みが急ピッチで進む可能性が高まってきた。この動きが本格化すれば,太陽電池や燃料電池の技術開発のけん引役に船舶も加わってくる。一方宇宙の活用としては,太陽電池を地球外に設置する計画が進んでいる。自然エネルギーの欠点だった不安定でエネルギー密度が低いという課題を,宇宙であれば一掃できる。実現すれば,ほぼ無尽蔵の太陽エネルギーを電力に変換して地球に持ち込むことが可能になる。

  • 解決すべき課題 ▼ 再生可能エネルギーの大量導入と技術革新の先行きに不安感
  • 解決の視点 ▼ これまで未開拓の海や宇宙に目を向ける
  • 波及効果 ▼ エネルギー関連デバイスの需要がさらに拡大する
  •  人類が直面する課題の一つであるエネルギー問題。現在主流のエネルギー源である化石燃料は,地球温暖化を引き起こす主因とされる上,埋蔵量にも限りがある。その一方で,新興国の発展などによって,エネルギー消費量は今後も増大していく。このエネルギー問題の解決に向けて陸地だけでなく,これまで手付かずだった“海”と“宇宙”を活用することが有効になりそうだ。

    太陽電池の普及をけん引

     化石燃料の使用を減らしながら,エネルギー供給量を増やす切り札として期待を集めているのが,再生可能エネルギーである。再生可能エネルギーの中でも特に,太陽電池への期待が高い。いくつかの調査では,将来のエネルギー源の中で太陽電池が最大の比率を占めるとされている(図1)。

    図1●再生可能エネルギーへの期待が高まる
    図1●再生可能エネルギーへの期待が高まる
    楽観的な予測では,再生可能エネルギーの比率は年を追うごとに増え,太陽電池の比率が最大になるという。ベルギーに拠点を置くEREC(European Renewable Energy Council)のデータを基に本誌が作成。

     期待を集める太陽電池は現在,各国の導入振興策の後押しもあって,住宅や発電所などへの設置が急速に進んでいる。さらに,自動車や携帯機器といった新しい用途へも広がる兆しが見えてきた。これらの分野が中心となって,太陽電池の設置量は今後も増えていくだろう。