「日の丸鉄道」を支えて生きる

図8 オーエークリエーションの皆さんと筆者
中央が庄司社長。

 ほかにも最近,ビックリしたことがある。中国の高速鉄道の車両が,我が国の新幹線にソックリなのだ。なのに,中国製で,ほとんどすべてを国内で開発したと報道されている。まあ,オリンピックの開催もあって国威発揚も大事だったのだろうが,日本の技術を導入したとちゃんと言えばよいのに…と思ったのは筆者だけではないだろう。しかし,国際的な鉄道事業のシェア,そう楽観するわけにはいかないようだ。最近,台湾高速鉄道,いわゆる台湾新幹線の輸出は決まったものの,世界的に見れば欧州勢が圧倒しているのが現状だからだ。

 軌道検測技術は,これからが勝負なのである。実は世界中,保線のための計測は従来の日本のように,まだ人力によるものだという。ならば,この新方式の軌道検測装置を世界中に展開できる可能性は大きい。そして我が国は,新幹線をはじめとした鉄道技術だけでなく,それを支えている保線技術を共に提供することができるのだ。

 世界中に,日本の新幹線や地下鉄の技術が輸出されればうれしい。しかし,その陰に隠れて見えにくいが,保線技術も掛け替えのないものである。むしろ,最先端の車両を走らせたのはいいけれど,肝心な保線の技術は心もとないでは済まされない。高速で走れば走るほど,軌道の安定性は相対的に重要度を増していく。

 日の丸鉄道が輸出され,しばらくすると軌道検測装置が必要不可欠なものであると分かるだろう。そしてその時が,我が国の鉄道技術が本物であると分かる時だ。

 真っすぐに生きることを決めた,オーエークリエーションの庄司社長と社員の皆さんが開発した軌道検測装置(図8)。それは,国内と海外の日の丸鉄道を支える,日本が誇るべき技術なのである。