健康で「Next Billion」にパソコンを
宗像 義恵氏
宗像 義恵氏
インテル
アシスタント・ジェネラル・マネージャー

 なぜ,Intel社が健康管理分野に注力しているのか。この分野が,社会の要求とIntel社の事業の接点に当たると考えるからである。

 先進国で深刻化しつつある医療費高騰などの課題を解決するためには,家庭での健康管理によって病気にかかる人を減らすことが,社会的にますます重要になる。それは,個人にとっても意味がある。QOL(quality of life)の向上につながり,かつ医療に掛かる費用負担を減らせるためだ。 ここにこそ,パソコンの新たな市場がある。これまでパソコンを利用していなかったユーザー層,すなわち「Next Billion(10億人)」にパソコンを広げていくためには,まさに「健康」が一つのキーワードだと考えている。

 もちろん,パソコンだけが存在しても使ってもらえるわけではない。サービスやアプリケーションを含めて,何ができるのかが重要だ。「(健康管理を)そこまでできるならパソコンを使いたい」と思わせるようなメリットを打ち出していく必要がある。

 Intel社は半導体ベンダーであるため,我々だけでは限界がある。そこで,サービスなどを含めたトータルのシステムを構築しようというのが,Continua Health Allianceを主導する狙いでもある。

 規模がものをいう我々の半導体ビジネスの視点から見ても,健康管理の分野は魅力が大きい。医療の分野に比べるとターゲット層が広く,市場規模が大きいためだ。 (談)

すべての動きを横一線にとらえている
谷田 千里氏
谷田 千里氏
タニタ
代表取締役 社長

 Continua Health Allianceが描いているように,健康機器を電子機器やWebサービスなどと連携させたいという考えは,我々にもある。健康機器単体だけでは「計ってどうするの?」という話も出てくるが,適切な指導サービスなどと組み合わせることで,健康機器の役割も生きてくる。

 ただし,その際にContinua Health Allianceがすべてだとは考えていない。Continua Health Allianceと同じような動きは,ほかにも出てくる。我々自身も2007年3月に,自社の健康機器同士をつなげて健康情報を管理できるサービス「からだカルテ」を既に始めている。我々は今,すべての候補を横一線でとらえている段階だ。

 例えばContinua Health Allianceの設計ガイドラインでは,無線通信にBluetoothを使う。これに対して,からだカルテでは赤外線通信(あるいは特定小電力通信)を利用するため,無線通信部のコストをBluetoothより大幅に安くできる。こうした違いが,市場への広がりに関係してくるかもしれない。もちろん我々は,Continua Health Allianceの設計ガイドラインに対応する健康機器も開発している。結局は,ユーザーが使いやすいと選んだものが残っていくだろう。

 ただし,どの方式が残ったとしても我々は差異化できる。からだカルテのビジネスを通じて,健康機器の単体売りだけでは得られないノウハウを蓄積してきており,これを生かせる可能性があるからだ。 (談)