2008年11月に開催された開発者会議「SuperSpeed USB Developers Conference」や,2009年1月の「2009 International CES」では,USB 3.0によるデータ伝送の実演が相次いだ(図2)。「実現が一番難しい」(NECエレクトロニクスのある技術者)とされる物理層回路を実装したLSIも,数社が試作済みだ(表1)。富士通マイクロエレクトロニクスやNECエレクトロニクス,米Symwave,Inc.などである。
順調に行けば,ホスト・コントローラなどUSB 3.0対応LSIが2009年夏ごろにサンプル出荷される見込みである。USB 3.0向けLSIの寸法は,USB 2.0対応品と同程度を目指す。USB 3.0-SATAインタフェースのブリッジLSIの場合で,「6~7mm角にしたい」(富士通マイクロエレクトロニクスの設計担当者)。いずれは,現行のUSB 2.0と同じく,「携帯電話機のベースバンド処理LSIなどに集積したい。現在の回路規模から判断して実装可能だろう」(同)とみている。
対応コネクタやケーブルの開発も進んでいる。USB 3.0では現行仕様との後方互換性を確保するため,新たなコネクタを導入した。Standard(標準)仕様と携帯機器に向けたMicro仕様の2種類があり,標準仕様には「A型」と「B型」がある注1)。このうちA型では奥にUSB 3.0,手前にUSB 2.0の端子を設けている。B型ではUSB 3.0とUSB 2.0の端子がそれぞれ上下に配置されている。
注1) このほか,コネクタにはPowered-B仕様がある。