2008年11月に開催された開発者会議「SuperSpeed USB Developers Conference」や,2009年1月の「2009 International CES」では,USB 3.0によるデータ伝送の実演が相次いだ(図2)。「実現が一番難しい」(NECエレクトロニクスのある技術者)とされる物理層回路を実装したLSIも,数社が試作済みだ(表1)。富士通マイクロエレクトロニクスやNECエレクトロニクス,米Symwave,Inc.などである。

【図2 対応LSIやIPコアの開発が活発化】 Symwave社はUSB 3\.0の物理層回路を実装したLSIを試作し,USB 3\.0によるデータ伝送デモを披露した(a)。HDDへのデータ書き込みを想定し,SATAインタフェースでデバイス側の基板とHDDを接続していた。 HDDへのデータ転送速度は約80Mバイト/秒。USB 3\.0を使えば200M ~300Mバイト/秒で伝送できるものの,用いたHDDのSATAの仕様から約80Mバイト/秒にとどまっているという。ホストとデバイスの通信には,USB3\.0対応の試作ケーブルを利用した。Synopsys社は,USB 3\.0によるHDTV動画伝送システムを試作した(b)。 1080pで30フレーム/秒の動画を非圧縮伝送した。
図2 対応LSIやIPコアの開発が活発化
Symwave社はUSB 3.0の物理層回路を実装したLSIを試作し,USB 3.0によるデータ伝送デモを披露した(a)。HDDへのデータ書き込みを想定し,SATAインタフェースでデバイス側の基板とHDDを接続していた。HDDへのデータ転送速度は約80Mバイト/秒。USB 3.0を使えば200M ~300Mバイト/秒で伝送できるものの,用いたHDDのSATAの仕様から約80Mバイト/秒にとどまっているという。ホストとデバイスの通信には,USB3.0対応の試作ケーブルを利用した。Synopsys社は,USB 3.0によるHDTV動画伝送システムを試作した(b)。 1080pで30フレーム/秒の動画を非圧縮伝送した。
表1 USB対応LSIやIPコアの開発を手掛ける主なメーカー
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 順調に行けば,ホスト・コントローラなどUSB 3.0対応LSIが2009年夏ごろにサンプル出荷される見込みである。USB 3.0向けLSIの寸法は,USB 2.0対応品と同程度を目指す。USB 3.0-SATAインタフェースのブリッジLSIの場合で,「6~7mm角にしたい」(富士通マイクロエレクトロニクスの設計担当者)。いずれは,現行のUSB 2.0と同じく,「携帯電話機のベースバンド処理LSIなどに集積したい。現在の回路規模から判断して実装可能だろう」(同)とみている。

 対応コネクタやケーブルの開発も進んでいる。USB 3.0では現行仕様との後方互換性を確保するため,新たなコネクタを導入した。Standard(標準)仕様と携帯機器に向けたMicro仕様の2種類があり,標準仕様には「A型」と「B型」がある注1)。このうちA型では奥にUSB 3.0,手前にUSB 2.0の端子を設けている。B型ではUSB 3.0とUSB 2.0の端子がそれぞれ上下に配置されている。

注1) このほか,コネクタにはPowered-B仕様がある。