これまで地味な存在だった携帯機器のアンテナ技術に,脚光が当たっている。従来のアンテナ・メーカーだけでなく,半導体や機器のメーカーが自ら開発に乗り出し始めた。MIMO技術が今後の民生用無線システムで標準的に使われるようになると,アンテナが従来のままでは機器のデザインや性能の点で大きなネックになるからだ。これを解決するため,「メタマテリアル」という従来なかった素材や設計を利用したり,適応的なスマート・アンテナ技術を端末に採用したりする例が出てきた。
連載
無線の行方はアンテナが決める
目次
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第5回:ソフトウエア無線が実現間近,部品の改良で特性が向上(2)
ソフトウエア無線の開発には,NEC,ソニー,東芝など日本のメーカーも参戦している。もっとも3社はアーキテクチャの開発より,フィルタなどのRF素子の開発に注力している。このうち,NECはチューナブル低域通過フィルタ(LPF)をアナログ技術とデジタル技術を組み合わせる独自の手法を開発して実現した。
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第4回:ソフトウエア無線が実現間近,部品の改良で特性が向上(1)
近い将来,無線システムのスタンダードはソフトウエア無線になる。技術,サービス,電波資源のすべての面で必要とされ始めた。RFアナログ回路は統合技術が成熟しつつある。アンテナも含めたリコンフィギュラブルRF技術を使うアーキテクチャで鍵になる部品の性能が向上し,数年後にも端末の実現が見込めそうだ。コグニテ…
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第3回:MIMO時代の到来に向け,アンテナ技術が大きく飛躍(2)
複数の無線方式を利用する時代への対応策としては,特殊な技術でアンテナ素子の長さを短くする以外の方法も提案されている。それが,微細加工技術を用いて1本1本のアンテナ素子を目立たなくすることである。例えば,日立電線とNICTは2007年2月に広帯域で透明シート状のアンテナを試作した。
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第2回:MIMO時代の到来に向け,アンテナ技術が大きく飛躍(1)
複数の無線方式がそれぞれMIMOを利用する時代を間近にしてアンテナ素子を超小型にする技術が開花し始めた。歴史は長いが応用が限られていたスマート・アンテナ技術も一気に実用化されそうだ。小型アンテナ素子の特性を適応的,自律的に変えることでその限界を補完する手法が,今後は標準的になりそうだ。
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第1回:百花繚乱の新型アンテナ技術,MIMOの到来で採用が不可避に
これまで地味な存在だった携帯機器のアンテナ技術に,脚光が当たっている。従来のアンテナ・メーカーだけでなく,半導体や機器のメーカーが自ら開発に乗り出し始めた。MIMO技術が今後の民生用無線システムで標準的に使われるようになると,アンテナが従来のままでは機器のデザインや性能の点で大きなネックになるからだ…