図 カルソニックカンセイが出展した「シグマ12」
図 カルソニックカンセイが出展した「シグマ12」
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 カルソニックカンセイは第39回東京モーターショー(一般公開日:2005年10月22日~11月6日)で、同社が試作した最新のコックピットモジュール「シグマ12」を公開した。同社はモーターショーの度に同社の最新技術を盛り込んだコックピットモジュールに「シグマ」の名前を付けて公表してきており、これが12機種目になる。

 前回の第38回モーターショーに出展した「シグマ11」では、ステアリング・バイ・ワイヤを前提とした軽量化や部品点数削減が大きなテーマになっていたが、シグマ12ではクルマの情報化への対応が目立った。

 具体的には、メータを液晶パネルとし、走行状況に応じて画面を切り替えることで、ドライバーが視点を移動させずに様々な情報を確認できるようにした。液晶パネルはメータバイザの裏側に取り付け、ドライバーはハーフミラーで反射した虚像を見る。従来の液晶メータでは外光の映り込みを避けたり、外界との焦点距離を短くする目的で液晶パネルをメータのかなり奥に配置する必要があった。虚像を見せるようにしたことでメータの奥行きをコンパクトにまとめることができた。

 シフトレバーの近くに配置したパーキングブレーキの操作スイッチには二重可変表示技術を採用した。これは、一つのスイッチで、異なる表示色の異なる文字(あるいは絵柄)を表示させることを可能にする技術。このコックピットモジュールでは、サイドブレーキをレバーではなくスイッチ操作で行うが、サイドブレーキをかけるスイッチと解除するスイッチを二つ用意するのではなく、一つのスイッチで兼用するようになっている。パーキングブレーキをかける前は赤い「P」という表示だが、かけた後は緑色の「解除」の表示に切り替わる。この表示技術を応用すると、例えば緑色の表示でカーオーディオの操作に使っていたスイッチを、赤色の表示に切り替えてエアコンの操作スイッチとしても使うことができる。

 最近のクルマではエレクトロニクス機器が多機能化し、操作するスイッチも増える一方。今回の二重可変表示技術は限られた数のスイッチで多様な機能を実現することを可能にする。このほかにも、サイドミラーの代わりにインストルメントパネルの両サイドに設けたモニタでカメラ画像を表示するようにしたり、インストルメントパネル全幅にわたって空調の吹き出し口を設け、穏やかな風を送り出したりする機能を盛り込んだ。