コスト削減、燃料補給インフラの整備、水素貯蔵装置の小型化、そもそも水素をどうやって製造するのか——。実用化に向けて課題山積の燃料電池車だが、たとえこれらの技術的な課題が解決したとしても、商品として魅力的なものにならなければ本来の意味での実用化はおぼつかない。果たして燃料電池車ならではの魅力とは何か。それを「パッケージング」という切り口で見せてくれるのが、ホンダが第39回東京モーターショー(一般公開日:2005年10月22日~11月6日)に出展する「FCX CONCEPT」だ。

図1◎「FCX CONCEPT」。ボディサイズは全長4720×全幅1870×全高1430mmで、ホイールベースは2900mm。

 燃料電池システムのパッケージングの自由度を生かし、床の低いプラットフォームを新開発、エンジン車では実現できない次世代のセダンフォルムを実現したとしている。この新開発のプラットフォームでは車体中央部に縦に燃料電池スタックを配置、従来の、床下にスタックを置くパッケージに比較して大幅に低床化し、同時にエンジンルームの小型化を可能にした。このためショートノーズ、ロングキャビンで、しかも低い独自のプロポーションとなっている。

 搭載する燃料電池スタックは、水素と酸素を上から下に流す(Vertical gas flow)システムを採用することを想定。水が常に下方に排出されるため低温始動に有利なのが特徴。従来は横方向に流していた。スタックの出力は100kWで、従来品のほぼ半分に小型化している。ただし、実際のスタックはまだここまで小型化できておらず、技術的な目標という意味合いが強いという。

図2◎キャビンの前後を絞り込み、フェンダーの張り出しを強調した。

図3◎フロントビュー。