図1 メディア・プロセサを実装した評価ボード。ボード中央の黒い部分の下にメディア・プロセサがある
図1 メディア・プロセサを実装した評価ボード。ボード中央の黒い部分の下にメディア・プロセサがある
[画像のクリックで拡大表示]
図2 メディア・プロセサで処理した画像を液晶パネルに表示させたところ
図2 メディア・プロセサで処理した画像を液晶パネルに表示させたところ
[画像のクリックで拡大表示]
図3 メディア・プロセサのブロック図
図3 メディア・プロセサのブロック図
[画像のクリックで拡大表示]
図4 ホーム・サーバとの接続を念頭に置く
図4 ホーム・サーバとの接続を念頭に置く
[画像のクリックで拡大表示]

 フィリップス エレクトロニクス ジャパンは,映像信号やオーディオ信号の再生など,自動車内のエンターテインメント機器に向けたメディア・プロセサ「Automotive Media Processor」を開発し,映像や音楽を再生するデモンストレーションを披露した(図1,図2)。このメディア・プロセサを自動車版のホーム・サーバの基幹LSIと位置付け,多くの外部機器から映像信号やオーディオ信号を入力して信号処理できるようにした(図3)。CPUコアとしてARM926EJ-Sを搭載し,無線LANモジュールやBluetoothモジュール,デジタル・カメラなど外部機器と接続するためにPCカードやUSB2.0,グラフィックDMA,UARTといったインタフェース回路を備える。映像出力については,YUV信号の出力回路や液晶パネルの制御回路などを集積した。

 今回のメディア・プロセサはまだ試作段階であり,車載機器メーカーなどに技術紹介をしている段階である。今はメディア・プロセサの使い方を明確に描いている車載機器メーカーは少ないという。ただし,家庭でホーム・サーバが普及するに従って市場の要求が強くなってくるとみる。「3年もすればホーム・サーバはかなり一般的な機器になるだろう。そうなれば,自動車内でもホーム・サーバのように映像信号やオーディオ信号を一貫して取り扱える機器が欲しいという声が大きくなるはずだ」(フィリップス エレクトロニクス ジャパンの説明員)。自動車版のホーム・サーバが実現すれば,UPnPやWiFiを使って家庭内のホーム・サーバと接続し,サーバ同士で画像データや音楽データを受け渡しすることも可能になる(図4)。

 展示ブースでは例えば,(1)MP3のオーディオ信号の再生やMPEG-2形式の映像信号の再生,(2)JPEG形式の画像データをBluetoothを使って携帯電話機に送信,(3)UPnPを使ってメディア・プロセサを搭載したボードからファイルをホーム・サーバに送信,といったデモンストレーションを見せた。例えば,映像信号の再生では,QCIFの映像信号を10フレーム/秒で液晶パネルに表示させていた。メディア・プロセサは,最大でCIFの映像信号を30フレーム/秒で再生できる能力を備えているという。2008年ごろにはCPUコアにVLIW型の「TriMedia」を採用する予定。そうすれば,VGAの動画を再生できるようになるという。



お詫びと訂正
当初「Trimedia」を採用することでSVGAの動画を再生できるようになるとしていましたが,再生可能になるのはVGAの動画でした。お詫びして訂正します。