アイシン・エィ・ダブリュがハイブリッド機構「HD-10」の詳細をSAE2005(米自動車技術会総会と展示会、会期:2005年4月11~14日)で発表した(講演番号2005-01-0200)。HD-10は前輪駆動車向けの、モータを2つ使うハイブリッド機構で、アイシン・エィ・ダブリュが1986年以降開発を進めていたもの。2004年に米Ford Motor社が「Escape Hybrid」に搭載して発売した。

図1◎アイシングループブースに展示した「HD-10」。写真手前にダンパがあり、エンジンと組み合わせる。ECU、インバータを一体化している。二つのモータの冷却にはATフルードを使い、さらに遊星ギアなどの潤滑も兼ねている。ATフルード以外にも冷却水をインバータの冷却などに使う。

 HD-10はモータを二つ使い、遊星歯車機構でエンジンとモータの駆動力を組み合わせるという点はトヨタ自動車の「プリウス」と同じだ。エンジン、発電機、モータを同軸上に配置するプリウスとは異なり、HD-10では駆動用のモータをディファレンシャルギア側に配置しており、ちょうど3軸のFF用変速機のようなレイアウトになっている。そのため、既存の車両を大きく変更せずにハイブリッド機構を搭載できるのが特徴だ。遊星ギアはサンギアが発電機で、キャリアがエンジン、リングギアが駆動用モータにつながっている。この点はプリウスと同じ。