台湾MediaTek社は、64ビットのARMコアを10個集積したモバイル機器向けアプリケーション処理SoC「Helio X20」を2015年5月に発表している(日経テクノロジーオンライン関連記事1)。このSoCの開発経緯について、同社のDenny Liu氏(Deputy GM of Design Technology)が講演した。

図1●Denny Liu氏 日経エレクトロニクスが撮影。
図1●講演するDenny Liu氏
日経エレクトロニクスが撮影。
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 Liu氏が講演したのは、米Synopsys社と英ARM社、台湾TSMCが共催したイベント「Collaborating to Enable Design with 16-nm and 10-nm FinFET」(52nd Design Automation Conference(DAC 2015)会場近くのホテルで2015年6月8日に実施)である(図1)。講演タイトルは「Power Scalability : from System to Silicon」だった。

 同氏によれば、最近のスマートフォンでは画面(ディスプレイ)の大型化/高解像度化と、カメラの高解像度がますます進んでいる。さらにスマホ筐体の薄型化も進んでおり、電池容量も減少気味である(図2)。

図2●アプリケーション処理SoCの取り分が減少 MediaTekのスライド。
図2●アプリケーション処理SoCの取り分が減少
MediaTekのスライド。
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 こうしたスマホのトレンドの煽り(あおり)を受けているのが、アプリケーション処理を担うSoCだとする。既存のアプリ処理SoCに比べて、消費電力が低いチップの開発はMediTekにとってまさに焦眉の急である。ただし消費電力のカタログ値が低いチップではダメで、スマホユーザーが実際に使った際に電池寿命が長くなるようなアプリ処理SoCの開発を目指した。