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 トヨタ自動車は、2015年5月に開催した自動車技術会春季大会(主催:自動車技術会)で、燃料電池車に使う白金使用量の挙動解析をテーマに講演した。燃料電池のセルには化学反応を高めるための触媒として白金が使われているが、使用時間の経過とともに白金粒子の粒径が大きくなり、性能が低下してしまう。今回、発電時の白金の粒径大型化のプロセスを確認できた。白金使用量の低減につなげる。

 白金の粒子巨大化は、白金の溶解、白金粒子の移動による凝集、そしてサポート材であるカーボン酸化に起因するもの等と従来から考えられているが、まだ解明には至っていない。そこで、発電中の電圧が印加されているときの白金電極触媒の挙動を、TEM(透過型電子顕微鏡)でその場観察する手法を初めて開発した。

 従来での白金電極の観察では、初期状態での白金微粒子と、電圧低下時の白金微粒子をそれぞれTEM観察し両者の結果を比較していた。しかし、従来手法では白金微粒子が粗大化する過程はわからなかった。そこで、TEM内部で燃料電池触媒の化学反応を再現できる極小な電気化学セルを製作し、実際の白金粒子が粗大化する過程の観察を試みた。

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