造影剤の流れを動画で
造影剤の流れを動画で
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撮影画像から時間情報を得る
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 X線透視画像を見ながら、カテーテルを使って動脈瘤などを低侵襲に治療するIVR(interventional radiology)。その支援ツールを、東芝メディカルシステムズが2015年4月に発売した。X線血管撮影装置(アンギオ装置)向けの画像表示技術「Parametric Imaging」に実装した「Color Coded Circulation(CCC)」と呼ぶ機能がそれだ(リリース)。造影剤の流れる方向を動画表示することで、造影剤の流れや血管の走行、患部の状態などを直感的に把握しやすくする。

 アンギオ装置で得られる撮影画像は、血管内に注入した造影剤をX線で可視化したもの。その画像はモノクロの画素情報を持つとともに、X線を連続照射することから時間情報も備える。

血管全体の状況を把握できる

 同社がかねて提供してきたParametric Imagingでは、撮影した血管造影画像を基に、画像濃度の変化をカラー表示し、造影剤の動態を視覚的に表示する。アンギオ装置で得た動画像から1画素ごとに時間濃度曲線(time density curve:TDC)を作成。その曲線をさまざまなパラメータで変換して画像を作り出す。TDCの最大画素濃度点に到達する時間(time to peak:TTP)や最大画素濃度値(peak height:PH)、TDC積分値(area under curve:AUC)を色付け表示可能だ。ただし、この手法で得られるのは静止画であるため、術者が頭の中で造影剤の流れをとらえ直す必要があった。

 これに対し、CCCは色情報を細かく変化させて繰り返し動画表示する。具体的には、造影剤到達時間(time to arrival:TTA)や平均通過時間(mean transit time:MTT)、およびTTAに基づく静止画の色を循環させて動画表示する。

 この手法では、色の変化を動画像で把握できるため、造影剤の流れる方向をより直感的に理解できる。従来手法では、造影剤が早く抜けてしまった血管などを捉えにくいという課題があったが、CCCでは「解剖学的な血管構造の全体を、常に視覚的に把握できる」(東芝メディカルシステムズ)。