ドローンがコーヒーを運ぶ時代はやってくるか。2015年4月23~26日にマルタ共和国で開催された報道関係者向けのイベント「IFA Global Press Conference 2015」でのGfK社のプレゼン資料から
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 「ドローンが家の中でコーヒーを運んできて、洋服をクリーニング屋さんに持っていってくれる。そんな未来がくるかもしれない」。

 半ば冗談まじりに、こうした未来を語るのは、市場調査会社のドイツGfK社で小型(白物)家電分野のGlobal Directorを務めるUdo Jansen氏。日本では首相官邸に落下して大騒ぎになり、規制強化の声が上がるドローンが、役に立つ“ロボット家電”として活用される時代がやってくるのではないかという予測である。

 Jansen氏の未来図はあくまで想像ではあるものの、それなりに本気の部分もあるようだ。その背景には、小型家電がIoT(Internet of Things)時代の構成要素の中核として家庭内で存在感を高めていくという見方がある。スマートフォンや家庭内ネットワークを介してインターネットに接続し、クラウド上のサービスと連携する新しい機能は今後、小さな家電の重要な要素になると同氏は見ている。

 そのトレンドは始まりつつある。既に電動歯ブラシや体重計などでは、スマートフォンとの連携機能を組み込む取り組みが目立っている。コーヒーメーカーや空気清浄機、電気ひげ剃りなどでも、クラウドとの連携機能を模索する動きが当たり前になっていく可能性は高い。

小型家電の市場は長期の拡大傾向にある。GfK社のプレゼン資料から
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 これを支えるのは、欧米を中心にした消費意欲の高まりだ。世界の小型家電市場は、この数年にわたって継続的な拡大傾向にある。GfK社によれば、2014年の小型家電の世界販売額は前の年に比べて5%増の640億米ドル(約7兆3800億円)。2015年も前年比3~6%増加すると予測している。ドイツのように過去13年間で消費意欲が最も高まっている国もある。