米IBM社のチューリッヒ研究所は、同社の最新MPU「POWER8」とFPGAアクセラレーターボードを密結合する技術「CAPI(Coherent Accelerator Processor Interface)」の効果を測定し、その結果を「DATE(Design, Automation, and Test in Europe) 2015」(フランス・グルノーブル、2015年3月9日~13日)で発表した。

図1●CAPIを説明するHeiner Giefers氏 日経エレクトロニクスが撮影。CAPIはコヒーレンシーを担保するための仕様で、物理的にはPCI Expressなどの既存インターフェースを使う。スクリーンはIBMのスライド。
図1●CAPIを説明するHeiner Giefers氏
日経エレクトロニクスが撮影。CAPIはコヒーレンシーを担保するための仕様で、物理的にはPCI Expressなどの既存インターフェースを使う。スクリーンはIBMのスライド。
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図2●CAPI(下)ではI/Oオーバーヘッドが小さい IBMのスライド。
図2●CAPI(下)ではI/Oオーバーヘッドが小さい
IBMのスライド。
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 IBMはPOWERアーキテクチャーの最新MPU「POWER8」を開発し、それを搭載したサーバー「IBM Power System」の第1弾製品を2014年4月に発表している(日経テクノロジーオンライン関連記事1)。このMPUやサーバーと共に発表された目玉の新技術の1つが、CAPIである(同関連記事2)。

 CAPIはコヒーレンシーを担保するための仕様で、FPGAベースのアクセラレーターボードなどをMPU(現在はPOWER8)と密に接続すること狙う。この仕様に沿ったMPUとアクセラレーターカードは共有メモリーを経由して直接通信できる(図1)。PCI Expressなど既存のインターフェース仕様だけで接続する場合に必要だったI/Oサブシステムのオーバーヘッドが不要になる(図2)。例えば、デバイスドライバーなしに、アクセラレーターをホストのアプリケーションの一部として動作させることができる。

 今回、CAPIの評価を行ったのは、IBMチューリッヒ研究所のHeiner Giefers氏らである。「Accelerating arithmetic kernels with coherent attached FPGA coprocessors」(講演番号9.2.1)というタイトルで、評価結果を発表した。評価はFFT(fast Fourier transform)演算を、ソフトウエア(すなわちMPUのみ)、PCI Express接続のFPGAボード(CAPI使用せず)、PCI Express接続のFPGAボード(CAPI使用)という3種類の形で実装して行った。