米University of California, Berkeleyで教授を務めるJan M. Rabaey氏は「DATE(Design, Automation, and Test in Europe) 2015」(フランス・グルノーブル、2015年3月9日~13日)で講演し、IoTやウエアラブル機器に関して議論を展開した。講演タイトルは「The Human Intranet-Where Swarms and Humans Meet」(講演番号6.1)だった。

 DATE 2015の基調講演の記事でも紹介したように(日経テクノロジーオンライン関連記事)、今回のDATEの重要テーマがIoTである。DATEでは例年テーマを設けて学会を盛り上げる試みが行われているが、今回はやたらめったらIoTという名の付くセッションや講演が多い。IoTに関連する分野は広く、エレトロ二クスとほぼ同じだということを考えると、やむを得ない気もしないではない。

ヒトにはべってヒトの役に立つ

自転車もウエアラブル機器 講演するJan M\. Rabaey氏(左端)。日経テクノロジーオンラインが撮影。スクリーンは同氏のスライド。
「自転車もウエアラブル機器」
講演するJan M. Rabaey氏(左端)。日経テクノロジーオンラインが撮影。スクリーンは同氏のスライド。
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 Jan M. Rabaey氏はDATEだけでなく、エレクトロニクス関係のさまざまな学会で講演している。しかも、その時々にホットな話題で講演しており、カバー範囲が広い。もちろん、話の展開も巧みだ。

 この講演で印象に残ったのトピックの1つは、ウエアラブル機器のくだりだ。例えば、「バンドや時計、眼鏡だけがウエアラブル機器ではない。それらはウエアラブル機器の始まりにすぎない」(同氏)と述べた。

 同氏によれば、ヒトにはべって(侍って)ヒトの役に立つものはすべてウエアラブル機器だといえる。バンドや時計、眼鏡は確かにそうだ。ただし、同氏の定義によれば、自転車やオートバイ、自動車だって、ウエアラブル機器と呼んでもよくなる。それはそれで納得がいく話である。

 話を元にもどそう。それでは、今、ウエアラブル機器と呼ばれているものは何か。クラウドと我々を媒介する機器である。スマートフォンがその代表例だし、バンドや時計、眼鏡型のウエアラブル機器もそうだ。