ISSCCで基調講演するKim氏
ISSCCで基調講演するKim氏
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 韓国Samsung Electronics社 PresidentのKinam Kim氏は、半導体回路技術の国際学会「2015 IEEE International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)」(2015年2月22日~26日)で2月23日に基調講演し、最近の半導体微細化技術の動向と同社の開発状況について語った。

 講演タイトルは、「Silicon Technologies and Solutions for The Data-driven World」。The Data-driven Worldとは、ビッグデータやIoT(internet of things)のデータがインターネットで支配的になっている世界を指す。Kim氏は米Cisco Systems社の予測を引用して、「2014年時点で人間は72億人だが、インターネットに接続されているモノは、すでに約2倍の144億個。2020年には500億個になる」とした。

 接続端末が増えることで当然、通信量や必要な信号処理量も増える。このため、これを支える半導体技術も大きな進展が必要になる。そこでKim氏は、今後の半導体技術の伸びしろについて語った。結論は「5nmまでは根本的な技術的困難はなく、それ以下の実現も見込める」(同氏)である。

 具体的にはまず、素子の研究開発段階の試作例としてSamsung社自身がゲート長さが3.8nmのFinFETの動作を確認した例を挙げた。半導体の量産に用いる露光技術の解像度という点では、EUVと4重パターニングを組み合わせることで「3.25nmが実現可能」(Kim氏)とした。レジスト技術は現時点では、8nm止まりだが、EUV技術向けのレジスト材料を開発中でさらなる微細化が見込めるという。

 Samsung社が手掛ける半導体素子は、ロジック、DRAM、NANDフラッシュメモリーの技術に大別できる。ロジックはちょうど2015年1月に14nm世代のFinFETの量産が始まった段階。7nm弱まではFinFETで微細化を進められるものの、「7nm以降はGAA(gate all around)技術やトンネルFETなどが主流となる」(Kim氏)とした。