こころみの神山氏
こころみの神山氏
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負のサイクルを断ち切るには…

 こうした負のサイクルを断ち切るには、生活のリズムを取り戻し、自己認識を高めることが大切だと神山氏は述べる。「生活のリズムを整えたり、自己認識を高めたりする手段は実はシンプルで、仕事や運動、趣味、自分史、あるいは恋愛などが考えられる。高齢者が仕事を持つことは生活のリズムを取り戻し、社会的に貢献できているという認識を持てる。運動も規則正しさや達成感を得ることで、自信を生むのに効果がある。これらを継続することが重要であり、それによっていつまでも元気な気持ちで暮らせることになる」(神山氏)。

 ただ、こうした手段に取り組めない自己認識の低い人がいることも現実だ。「一度、孤独に落ち入って脱しきれない方に対する解決策の1つが、当社が提供している会話型見守りサービスだと考えている。会話すること自体が孤独を解消し、自己認識を高める効果があると開始したものだ」(神山氏)という。

 会話型見守りサービス「つながりプラス」は基本的に電話によるサービスだが、特徴的な点は担当者制をとっていること。初回は必ず高齢者宅を訪問し、顔見知りになった担当者が電話による会話サービスを行うもの。また、利用者の家族向けサービスとして、電話で会話した内容を詳細に、その日のうちにレポートにまとめ家族に提供している。

 「レポートは会話口調のまま書かれており、家族からすると、親御さんの暮らしぶりがありありとわかると好評だ。家族が電話しても教えてくれないこと、話してくれないことはたくさんある。そうした方に第三者である我々が話し相手になると、さまざまな内容のコミュニケーションができるようになり、それを家族に伝えている」(神山氏)という。レポートによって家族は暮らしぶりがわかることをきっかけとして、電話や訪問の回数が増え、コミュニケーション頻度が増して親子の絆が深まる効果があると神山氏は述べた。

 「自分の話を熱心に聞いてくれる人がいることを通じて自信を取り戻し、結果としてコミュニティー、社会に積極的に参加するようになった例が数多くある」(神山氏)と、会話型見守りサービスの成果を強調した。