葛城市の山下和弥市長。市役所に行政サービス機能が集中していたのを分散化し、多世代の人々が集まれる“井戸端”を作るなど、失われた地域コミュニティーの復活を目指している
葛城市の山下和弥市長。市役所に行政サービス機能が集中していたのを分散化し、多世代の人々が集まれる“井戸端”を作るなど、失われた地域コミュニティーの復活を目指している
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 奈良県 葛城市長の山下和弥氏は、パシフィコ横浜で開催中の「次世代ヘルスケア展」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス、2014年10月29日~31日)で、構想中の健康づくり施策を紹介した。街の回遊を促すことで、市民の健康促進とともに地域の活性化を狙うものだ。

 山下市長は、2016年1月に利用が始まる「マイナンバー制度」を、葛城市では社会保障・税以外にも医療や公共交通、買い物などに使えるよう、準備を進めていく考え。その一環として、奈良県に本店を構える清涼飲料メーカー、ダイドードリンコの自動販売機にWi-Fi機能を搭載し、広域Wi-Fi環境を構築することを検討している。

 このWi-Fi自動販売機に、さらにGPS機能を持たせ、ゲームに利用しようというのが、山下市長の健康づくり案だ。ゲームアプリを搭載したスマートフォンを携帯して街を歩くと、歩いた分だけゲーム内でユーザーが操るキャラが強くなったり、特定の自動販売機の周辺で“中ボス”(強敵)と戦えたり、美少女キャラに出会えたりといったイベントが起きるようなゲームを想定している。「歩く人は放っておいても歩く。歩かない人を歩かせる方法を考えなければ」(山下市長)。また、Wi-Fi機能とGPS機能を持った自動販売機群は、高齢者や子どもの見守りなどにも活用する考えだ。

 葛城市はこれまでにも、奈良県内の6市町と、住民基本台帳や税務、国民年金などの基幹業務システムを共有し、クラウド型サービスとすることで、コストを削減するなど、ユニークなICT施策を導入してきた。マイナンバーの活用に向けては、専門知見を持ち寄るコンソーシアム「新時代葛城クリエーション研究会」を設立。同コンソーシアムには、オムロンヘルスケアやシャープ、NECなどが参加している。