図1 NPD DisplaySearch社のPaul Gray氏(Director of European TV Research)
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 米NPD DisplaySearch社の欧州拠点でDirector of European TV Researchを務めるPaul Gray氏の分析には毎年、とても納得されられることが多い。単に市場の数字がどうだから、ということ以上に、自らのテレビユーザーとしての実感が語られるからだ。手放しで新しいトレンドには乗らない。一歩下がって客観的に、そして批判的に見て、問題点を鋭く指摘する。しなやかに新しい事態を捉え、「人の感覚」に沿った分析を行う(図1)。

 これまでの「IFA Global Press Conference」(IFA GPC)を振り返ってみると、2012年は流行のスマートテレビに対して「ちょっと待てよ」と一歩引いて辛口解説した。

 「音声認識は、文字入力がリモコンやソフトウエア・キーボードを使わず簡単にできます。しかし実際には言語が多すぎて、認識エンジンの作製が大変です。欧州だけで100以上の言語があるのです。地域による微妙なアクセントが違いますし、柔軟性がありません」と言った。当時、韓国のSamsung Electronics社やLG Electronics社がこぞってスマートテレビの操作性を上げようと、音声認識機能をセールスポイントにしていたのを前提にした指摘だった。

 また、Gray氏はこうも言っていた。「スマートテレビはSIMPLE TO USEでなければなりません。検索しても結果が多すぎるのなら、何を見てよいか分かりません。また、カメラで人物を認識し、その人の好みを生かすようにプログラムするという機能も考えられていますが、3人がテレビを見ている場合、誰に焦点を合わすのでしょうか」。