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 シーメンス・ジャパンは、2014年4月11~13日に開催された「ITEM 2014」において、低被曝などを特徴とするX線CT装置「SOMATOM Force」を出展した。「レントゲン検査と同等の被曝線量で高精細なCT検査を実現」(同社)できる。具体的には、一般的な胸部レントゲン検査での被曝線量は約0.06mSvであるのに対して、今回のX線CT装置を利用した胸部撮影による被曝線量は0.1mSv程度という。

 新開発のX線管「VECTRON」を搭載することで低被曝などを実現した。照射X線量を決める要素には管電圧と管電流があるが、管電圧のほうがより大きく影響する。ただし、従来のX線CT装置では、管電圧を変えずに管電流を制御することでX線量を減少させていた。管電圧を低減させた場合、管電流のパワーでは照射X線量が不足してしまい、診断に必要な画質が得られなかったためだ。

 新開発のX線管は、最大1.3Aの管電流の発生を可能にしたことで、低電圧での撮影を実現した。例えば、通常のルーチン検査では120kVの管電圧を用いた検査が必要なところ、70k~80kVの電圧で検査が可能という。これにより被曝線量は、「通常の胸部CT検査で使用する被曝線量5m~30mSv程度に対し、一般的な胸部レントゲン検査と同等の0.1mSv程度となる」(シーメンス・ジャパン)。

 低電圧で撮影できると、造影コントラストが上昇するという。このため、造影剤の使用量を減らすことも可能になる。例えば、SOMATOM Forceの初期稼働施設であるドイツのマンハイム大学病院では、通常90m~110mlの造影剤を用いていたCT検査を、腎不全患者に対し25 m~35 mlの量で検査可能になったことが実証されたと説明する。

 撮影速度は「世界最速の秒間70cm以上」(シーメンス・ジャパン)という。このため、多くの部位での検査において息止めが不要になる。例えば、心臓検査は0.1秒台、胸部検査では0.5秒以下で撮影することが可能である。