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「飲み込むチップで医療費のムダを削減」、Proteus Digital Health社CTOが講演

2014/02/21 15:19
木村 雅秀=日経BP半導体リサーチ
米Proteus Digital Health社 Co-Founder and CTOのMark Zdeblick氏
米Proteus Digital Health社 Co-Founder and CTOのMark Zdeblick氏
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講演の様子
講演の様子
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 無線ICチップを埋め込んだ錠剤を飲み込み、胃の中から体外に情報を送信する。このような技術を米国のベンチャー企業、Proteus Digital Health社が開発している。同社Co-Founder and CTOのMark Zdeblick氏が2014年2月21日に開催された「Trillion Sensors Summit Japan 2014」で講演した。講演タイトルは「Trillions of health care sensors address a trillion dollar problem」。

 ヘルスケアの分野では患者が正しく薬を飲まないことで医療費が増えてしまうという課題がある。例えば、結核の場合、正しく薬を飲んでいれば短期間で治るものの、途中で薬を飲まなくなり、薬剤耐性が付いてしまうと、完全に治すまでには長い時間を必要とする。また心臓病の患者の約1/2は、退院後の薬の飲み忘れによって再入院をしてしまう。こうした問題を解決するのが「飲み込むチップ」というわけだ。

 チップは寸法約1mm角のSi製ICであり、あらかじめ錠剤の中に埋め込んでおく。Siチップの重さは0.02g。錠剤と一緒に飲み込んだICは、患者が身に付けたパッチ型の端末に体内から信号を送信する。その情報はパッチ型端末からスマートフォンに送信され、最終的にクラウド上のデータとなる。なお、チップの無線通信には独自仕様の技術を用いた。パッチ型端末とスマートフォンの通信にはBluetooth Low Energyを利用する。

 飲み込んだチップは、「砂粒を飲み込んだ時のように体外に排出される」(Zdeblick氏)という。チップが信号を送信できる時間は、「以前は1時間ほどだったが、現在は10分程度にしている」(同氏)。なお、この飲み込むチップは現在FDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を待っている状態である。

 飲み込んだチップから送られる信号によって、摂取した薬の種類や量、時刻などが分かる。さらにパッチ型端末では患者の体温や心拍数、姿勢などの情報を検出する。こうした情報によって、医師は患者が処方箋通りに正しく薬を飲んでいるか、規則正しい生活をしているか、などを知ることができる。もし正しく薬を飲まなかったり、薬を多く飲み過ぎたりした場合には、医師から患者にメッセージを送ることができる。また、患者が正しく薬を飲むと、援助が必要な地域に同量の薬が寄付されるといった仕組みを導入することで、患者に対して薬を飲む動機を与えることができる。

 新薬の臨床試験においても今回の技術は有効だとZdeblick氏はいう。臨床試験では通常1万人の被験者に薬を投与して効果を調べるが、正しく薬を飲む人と、そうでない人がいるため、調査データには雑音が混ざってしまう。今回の技術を利用すれば、正しく薬を飲んだ人の結果のみを使うことができる。

 また、これまで薬は売った量によって儲けが決まっており、患者が正しく薬を摂取したかどうかは関係なかった。今回の技術を利用すれば、患者が薬を飲んだか、さらには患者が本当に治ったかどうかによって料金を決めるといったことも可能になるという。

 なお、薬の消費量は年間1兆個を優に超えており、今回の技術が実現すれば、トリリオン・センサーは「我々の用途だけでも実現できる」(Zdeblick氏)と述べた。

日経デジタルヘルス Special

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